いじめ・体罰問題について
2013年7月 2日 火曜日
いじめのブログ
先月(6月)21日に、児童、生徒のいじめを防ぐため、「いじめ防止対策推進法」が成立し、本年度の秋から施行される予定です。
この法律の成立を後押ししたのは、大津で中学生がいじめを苦に自殺したあの事件であることは間違いありません。
以前から、このような法律の策定が望まれていたのですが、大津の事件でいじめ問題が大きな社会問題となり、国は世論に押される形で法律を策定せざるを得なかったのだと思います。
しかし、いじめ問題についての法律が成立するまで、一体どのくらいの児童、生徒の自殺があったのかを考えると、正直、暗い気持ちにならざるを得ません。
いじめ防止対策推進法(以下単に「いじめ対策法」と略します)のポイントは次の点にあります。
1 学校にいじめ対策に関する組織の常設することを求めたこと
2 重大ないじめが発生した場合
①学校は文部科学省や自治体に報告しなくてはなりません。
②学校設置者や学校の下に組織を設けて調査しなくてはなりません。
③被害者側に適切に調査結果を提供しなくてはならなくなりました。
3 インターネットにおけるいじめは監視などで対策を強化しました。
4 加害児童、生徒に対しては懲戒は出席停止の適切な措置が取られます。
5 保護者は子供に規範意識などを指導しなくてはならないことになりました。
この法律について、様々な媒体で様々な意見が寄せられており、それらを一つ一つ紹介してコメントをする時間もスペースもないので、ここでは私の個人的な感想を簡単に述べさせて頂きます。
これは、様々な媒体で言われていることですが、このいじめ対策法ができた事により、我が国が国として「いじめは非常に悪いことであり、絶対に許さない」との姿勢を明確にできたことは大きな進歩だと思います。
以前、満員電車での痴漢行為は、それが悪質な態様なものでない限り、いつの世にもある犯罪であり、被害者は泣き寝入りすることになってもある意味仕方ないような風潮がありました。
しかし、痴漢行為は女性の人格を大きく傷つける極めて悪質な犯罪であり、小さな痴漢行為であっても絶対に許してはならないという世論が形成され、現在では、痴漢行為があった場合、警察は犯人に対し、極めて厳正な対応をしており、痴漢行為で逮捕されると、犯人の社会的地位は事実上無くなってしまうのが現状です。
いじめも痴漢行為と同様に被害児童、生徒の人格を大きく傷つけるもので、自殺に至るケースも少なくないことを考えるなら、これまでなぜ立法化が放置されてきたのか不思議に思います。
いじめ対策法の問題点は細かく分析するとたくさんありますが、私は次の2つの点が問題だと思います。
・まず第1番目の問題点は、罰則が織り込まれていなかった点です。
罰則は法律の実効性を担保するために設けられるものです。
いじめ問題で、これまで自殺という形で数多くの尊い命が失われていることを考えると、罰則がなく訓示規定のような条項だけでは今度法律が施行された場合の実効性に疑問を感じます。
・第2番目の問題点は、学校は児童、生徒が重大な被害を受けた場合に様々動くべきことが規定されていますが、その段階より前にも何らかのことができるようにすべきだったのではないでしょうか。
重大な被害が発生した場合の代表例は自殺未遂があったり、不登校が続いているような場合ですが、そうなる前に手を打つべきことが絶対に必要だと思います。
このように、いじめ対策法には問題点もありますが、まずは法律を作って国がそれなりの姿勢を見せたことは評価してよいと思います。
今度は法律の施行後、試行錯誤する中で、この法律をより良いものにしていく必要があると思います。
この法律の成立を後押ししたのは、大津で中学生がいじめを苦に自殺したあの事件であることは間違いありません。
以前から、このような法律の策定が望まれていたのですが、大津の事件でいじめ問題が大きな社会問題となり、国は世論に押される形で法律を策定せざるを得なかったのだと思います。
しかし、いじめ問題についての法律が成立するまで、一体どのくらいの児童、生徒の自殺があったのかを考えると、正直、暗い気持ちにならざるを得ません。
いじめ防止対策推進法(以下単に「いじめ対策法」と略します)のポイントは次の点にあります。
1 学校にいじめ対策に関する組織の常設することを求めたこと
2 重大ないじめが発生した場合
①学校は文部科学省や自治体に報告しなくてはなりません。
②学校設置者や学校の下に組織を設けて調査しなくてはなりません。
③被害者側に適切に調査結果を提供しなくてはならなくなりました。
3 インターネットにおけるいじめは監視などで対策を強化しました。
4 加害児童、生徒に対しては懲戒は出席停止の適切な措置が取られます。
5 保護者は子供に規範意識などを指導しなくてはならないことになりました。
この法律について、様々な媒体で様々な意見が寄せられており、それらを一つ一つ紹介してコメントをする時間もスペースもないので、ここでは私の個人的な感想を簡単に述べさせて頂きます。
これは、様々な媒体で言われていることですが、このいじめ対策法ができた事により、我が国が国として「いじめは非常に悪いことであり、絶対に許さない」との姿勢を明確にできたことは大きな進歩だと思います。
以前、満員電車での痴漢行為は、それが悪質な態様なものでない限り、いつの世にもある犯罪であり、被害者は泣き寝入りすることになってもある意味仕方ないような風潮がありました。
しかし、痴漢行為は女性の人格を大きく傷つける極めて悪質な犯罪であり、小さな痴漢行為であっても絶対に許してはならないという世論が形成され、現在では、痴漢行為があった場合、警察は犯人に対し、極めて厳正な対応をしており、痴漢行為で逮捕されると、犯人の社会的地位は事実上無くなってしまうのが現状です。
いじめも痴漢行為と同様に被害児童、生徒の人格を大きく傷つけるもので、自殺に至るケースも少なくないことを考えるなら、これまでなぜ立法化が放置されてきたのか不思議に思います。
いじめ対策法の問題点は細かく分析するとたくさんありますが、私は次の2つの点が問題だと思います。
・まず第1番目の問題点は、罰則が織り込まれていなかった点です。
罰則は法律の実効性を担保するために設けられるものです。
いじめ問題で、これまで自殺という形で数多くの尊い命が失われていることを考えると、罰則がなく訓示規定のような条項だけでは今度法律が施行された場合の実効性に疑問を感じます。
・第2番目の問題点は、学校は児童、生徒が重大な被害を受けた場合に様々動くべきことが規定されていますが、その段階より前にも何らかのことができるようにすべきだったのではないでしょうか。
重大な被害が発生した場合の代表例は自殺未遂があったり、不登校が続いているような場合ですが、そうなる前に手を打つべきことが絶対に必要だと思います。
このように、いじめ対策法には問題点もありますが、まずは法律を作って国がそれなりの姿勢を見せたことは評価してよいと思います。
今度は法律の施行後、試行錯誤する中で、この法律をより良いものにしていく必要があると思います。
投稿者 いじめ・体罰についてのブログ(田瀬英敏法律事務所) | 記事URL