田瀬法律事務所の日記
2013年12月12日 木曜日
弁護士の不祥事が止らない
昨年から今年にかけて、不祥事を犯して処分される弁護士の増加が止りません。
先日も弁護士登録4年目(35歳)の兵庫県の弁護士が依頼者からの預り金数千万円を横領して、自ら警察に出頭し逮捕待ちの状態であることが新聞で報じられるなど、登録して数年の経験の少ない弁護士にまで、不祥事の流れは辿り着いたことを知って、ある意味愕然とさせられました。
一昨年の12月には約10億円近い預り金を横領したたとして岡山県のベテラン弁護士が逮捕されました。
その弁護士は今年早々起訴されて8月に懲役14年という重い判決を受けています。
その前後に全国で預り金(その中でも多いのが成年後見人として管理している高齢者の財産を横領するパターンです)を横領して逮捕される弁護士が続発しています。
多くは40代後半から60代の弁護士で、止らない事務所の売上減少が犯行の大きな動機になっていることは間違いないようです。
ただ、今回出頭した35歳の若手弁護士はどのような経緯で数千万円の預り金を横領したかはまだ報じられておりませんが、非常に希有なケースだけに業界の注目が集まっています。
昭和から平成にかけて我が国は不動産バブル景気に見舞われました。
弁護士業界も例外ではなく、バブルの波に乗って濡れ手に粟の荒稼ぎをした弁護士もいたそうです。
バブル景気の恩恵を受けた弁護士の多くは、その後はコツコツと地味な仕事をこなす通常の生活に戻っていったようです。
しかし、バブル景気で私生活が浮わついた一部の弁護士は、その浮わついた私生活を維持するには、大きく減少した収入では無理だったようで、依頼者からの預り金に手を出して逮捕され(弁護士資格は当然のことながら殆どの場合無くなります)、その多くは塀の中へと消えて行きました。
当方が司法試験に合格した前後の平成6,7年当時は連日のように、不祥事を犯す弁護士のニュースが報じられ、NHKでも続発する弁護士不祥事を特集番組で報じるなど、一般市民の関心も多く集めていたように思います。
その後当方は司法修習生となりましたが、弁護修習期間中の倫理研修はかなり徹底したものだったという記憶があります。
この1,2年の弁護士不祥事の続発の原因は、何と言っても弁護士数の極端な増加でしょう。
十分な準備をしないまま単に弁護士の数を極端に増やした結果、売上が大きく減少した中高年弁護士が不祥事に走るようになり、
その波が若手弁護士にまで押し寄せたのが、今回の兵庫県弁護士会の35歳の若手弁護士の不祥事だと、当方は思います。
続発する弁護士の不祥事は、弁護士業界に対する社会の信頼を大きく損い、結果的に個々の弁護士の売上減少に直結する極めて由々しき事態です。
個々の弁護士が当たり前の倫理観念を持つことは当然として、当方は弁護士の活躍の場をより拡大することが一番大切だと、従来から思っております。
社会にはまだまだ弁護士に対する需要がたくさんあるのですが、その需要が十分に弁護士サイドに汲み上げられていない「ミスマッチ」状態になっています。
そのミスマッチ状態を解消することが重要だと思います。
先月、今や社会問題となっている学校でのいじめ・体罰問題に取り組むための弁護士の全国縦断組織が生まれました。
学校事件・事故被害者全国弁護団がそれで、当方もその組織の末席を汚させて頂いております。
当方も現在いじめ問題を複数担当しておりますが、依頼者は当方に辿り着くまでかなりの時間を要したと言っております。
様々な分野で、弁護士の全国縦断組織が次々とできれば、現在のミスマッチ状態解消への布石の一部になると、当方は考えております。
先日も弁護士登録4年目(35歳)の兵庫県の弁護士が依頼者からの預り金数千万円を横領して、自ら警察に出頭し逮捕待ちの状態であることが新聞で報じられるなど、登録して数年の経験の少ない弁護士にまで、不祥事の流れは辿り着いたことを知って、ある意味愕然とさせられました。
一昨年の12月には約10億円近い預り金を横領したたとして岡山県のベテラン弁護士が逮捕されました。
その弁護士は今年早々起訴されて8月に懲役14年という重い判決を受けています。
その前後に全国で預り金(その中でも多いのが成年後見人として管理している高齢者の財産を横領するパターンです)を横領して逮捕される弁護士が続発しています。
多くは40代後半から60代の弁護士で、止らない事務所の売上減少が犯行の大きな動機になっていることは間違いないようです。
ただ、今回出頭した35歳の若手弁護士はどのような経緯で数千万円の預り金を横領したかはまだ報じられておりませんが、非常に希有なケースだけに業界の注目が集まっています。
昭和から平成にかけて我が国は不動産バブル景気に見舞われました。
弁護士業界も例外ではなく、バブルの波に乗って濡れ手に粟の荒稼ぎをした弁護士もいたそうです。
バブル景気の恩恵を受けた弁護士の多くは、その後はコツコツと地味な仕事をこなす通常の生活に戻っていったようです。
しかし、バブル景気で私生活が浮わついた一部の弁護士は、その浮わついた私生活を維持するには、大きく減少した収入では無理だったようで、依頼者からの預り金に手を出して逮捕され(弁護士資格は当然のことながら殆どの場合無くなります)、その多くは塀の中へと消えて行きました。
当方が司法試験に合格した前後の平成6,7年当時は連日のように、不祥事を犯す弁護士のニュースが報じられ、NHKでも続発する弁護士不祥事を特集番組で報じるなど、一般市民の関心も多く集めていたように思います。
その後当方は司法修習生となりましたが、弁護修習期間中の倫理研修はかなり徹底したものだったという記憶があります。
この1,2年の弁護士不祥事の続発の原因は、何と言っても弁護士数の極端な増加でしょう。
十分な準備をしないまま単に弁護士の数を極端に増やした結果、売上が大きく減少した中高年弁護士が不祥事に走るようになり、
その波が若手弁護士にまで押し寄せたのが、今回の兵庫県弁護士会の35歳の若手弁護士の不祥事だと、当方は思います。
続発する弁護士の不祥事は、弁護士業界に対する社会の信頼を大きく損い、結果的に個々の弁護士の売上減少に直結する極めて由々しき事態です。
個々の弁護士が当たり前の倫理観念を持つことは当然として、当方は弁護士の活躍の場をより拡大することが一番大切だと、従来から思っております。
社会にはまだまだ弁護士に対する需要がたくさんあるのですが、その需要が十分に弁護士サイドに汲み上げられていない「ミスマッチ」状態になっています。
そのミスマッチ状態を解消することが重要だと思います。
先月、今や社会問題となっている学校でのいじめ・体罰問題に取り組むための弁護士の全国縦断組織が生まれました。
学校事件・事故被害者全国弁護団がそれで、当方もその組織の末席を汚させて頂いております。
当方も現在いじめ問題を複数担当しておりますが、依頼者は当方に辿り着くまでかなりの時間を要したと言っております。
様々な分野で、弁護士の全国縦断組織が次々とできれば、現在のミスマッチ状態解消への布石の一部になると、当方は考えております。
投稿者 田瀬英敏法律事務所(恵比寿の弁護士) | 記事URL
2013年12月 4日 水曜日
止まないストーカー被害
悲惨なストーカー被害が止りません。
最近も千葉県市川市で悲惨なストーカー殺人事件が起きました。
被害者は22歳の女性で、何と3歳の娘の目の前で以前交際していた男性に刺されて命を落としました。
犯人は刃物を所持したまま電車で逃走したため、警察も最大級の緊急配備を敷いて懸命に犯人確保に努め、その結果、八丈島に向かうフェリーに乗船した犯人を船着場で逮捕し、異例のスピード逮捕ができたことは不幸中の幸いでした。
少し前にも、三鷹市在住の芸能活動をしていた女子高生が、元交際相手の男性に自宅で刺し殺される事件が起きて世間に不安を与えました。
以前はストーカー被害を警察に相談しても、事実上門前払いされていましたが、最近は警察の対応も(まだまだ不十分ですが)以前とは隔世の感を覚えるくらい変わりました。
しかし、悲惨なストーカー事件は止まず、残念ですが、これからも起き続けると思います。
もちろんストーカー事件の根底には男女問題、夫婦問題(正確には元夫婦問題)があり、おそらく以前から、発生件数は今ほどではなかったものの、毎年一定程度の事件は発生していたと思います。
当方も数はそれほど多くはありませんが、毎年数件のストーカー事件を担当します。
当方が文書で警告をしてストーカーが収まるケースもありますが、ストーカーが抵抗して簡単には収束せず、結果的に解決には警察の力を借りるというケースもあります。
ストーカーの被害に遭った場合、どのような対策をするかも重要ですが、当方はストーカーになるような相手と交際をしないという事前の防衛策が大事だと思います。
もちろん、出会ってすぐにその相手がストーカーになるとわかっていれば、100%そのような相手とは交際しないでしょう。
ストーカー(女性の場合もありますが、圧倒的に多い男性の例を前提に話を進めます)は出会った当初は、誰でもそうですが、優しくて好印象を与えるはずです。
そして、普通に付き合っている場合は問題はないのですが、ひとたび別れ話をすると、これが同じ人間と思えなくなるくらい極端に変貌するのです。
それゆえ、普通に付き合っている場合は、なかなかその相手がストーカーに変貌するかどうか見極めるのは難しいと思います。
それではどうやったらストーカー予備軍とそうでない人とを見極めるのでしょうか。
非常にベタでステレオタイプの言い方ですが、当方は、「失うものがある人物かそうでないか」が見極めの一つの大きなポイントだと思います。
職業で差別する気はありませんが、市川市のストーカー男は無職か誰でもできる仕事をしており、三鷹で女子高生を殺害したストーカーもアルバイトをしていたような男性でした。
もし、ストーカー殺人をした結果、その後の人生全てを棒に振る(市川のストーカー男は22年から25年の懲役刑になるでしょう。出所する頃は40代半ばから後半です。家族からも縁切されているはずです)のは、自分の人生は半ばどうでもよく、自分の将来に展望や夢を持てないと感じている人間です。
仮にどんな些細な夢であっても、その人なりに、自分の将来の夢や展望があれば、それを台無しにすることはまずしないはずです。
ありきたりのことですが、家族を大事にし、自分の仕事にそれなりに誇りを持ち、またたとえ小さくても自分なりの目標や夢を持っている人物なら、ストーカーにはならないと思います。
万が一そのような暴挙に出ても、警察、弁護士などからそれなりに警告をされると、おそらく目が覚めて我に戻り、少なくても殺傷行為までには至らないと思います。
そのようなタイプの人物かどうか見極めることは、それほど高いハードル、難しいハードルではありません。
もし、これから付き合う相手、今付き合っている相手がそのような人物かどうか慎重に見極めて欲しいと思います。
もし、先ほど述べたタイプに当てはまるのであれば、慎重に別れる方策を考えて(そして何人かの信頼できる方に相談して)慎重に事を進めて下さい。
最近も千葉県市川市で悲惨なストーカー殺人事件が起きました。
被害者は22歳の女性で、何と3歳の娘の目の前で以前交際していた男性に刺されて命を落としました。
犯人は刃物を所持したまま電車で逃走したため、警察も最大級の緊急配備を敷いて懸命に犯人確保に努め、その結果、八丈島に向かうフェリーに乗船した犯人を船着場で逮捕し、異例のスピード逮捕ができたことは不幸中の幸いでした。
少し前にも、三鷹市在住の芸能活動をしていた女子高生が、元交際相手の男性に自宅で刺し殺される事件が起きて世間に不安を与えました。
以前はストーカー被害を警察に相談しても、事実上門前払いされていましたが、最近は警察の対応も(まだまだ不十分ですが)以前とは隔世の感を覚えるくらい変わりました。
しかし、悲惨なストーカー事件は止まず、残念ですが、これからも起き続けると思います。
もちろんストーカー事件の根底には男女問題、夫婦問題(正確には元夫婦問題)があり、おそらく以前から、発生件数は今ほどではなかったものの、毎年一定程度の事件は発生していたと思います。
当方も数はそれほど多くはありませんが、毎年数件のストーカー事件を担当します。
当方が文書で警告をしてストーカーが収まるケースもありますが、ストーカーが抵抗して簡単には収束せず、結果的に解決には警察の力を借りるというケースもあります。
ストーカーの被害に遭った場合、どのような対策をするかも重要ですが、当方はストーカーになるような相手と交際をしないという事前の防衛策が大事だと思います。
もちろん、出会ってすぐにその相手がストーカーになるとわかっていれば、100%そのような相手とは交際しないでしょう。
ストーカー(女性の場合もありますが、圧倒的に多い男性の例を前提に話を進めます)は出会った当初は、誰でもそうですが、優しくて好印象を与えるはずです。
そして、普通に付き合っている場合は問題はないのですが、ひとたび別れ話をすると、これが同じ人間と思えなくなるくらい極端に変貌するのです。
それゆえ、普通に付き合っている場合は、なかなかその相手がストーカーに変貌するかどうか見極めるのは難しいと思います。
それではどうやったらストーカー予備軍とそうでない人とを見極めるのでしょうか。
非常にベタでステレオタイプの言い方ですが、当方は、「失うものがある人物かそうでないか」が見極めの一つの大きなポイントだと思います。
職業で差別する気はありませんが、市川市のストーカー男は無職か誰でもできる仕事をしており、三鷹で女子高生を殺害したストーカーもアルバイトをしていたような男性でした。
もし、ストーカー殺人をした結果、その後の人生全てを棒に振る(市川のストーカー男は22年から25年の懲役刑になるでしょう。出所する頃は40代半ばから後半です。家族からも縁切されているはずです)のは、自分の人生は半ばどうでもよく、自分の将来に展望や夢を持てないと感じている人間です。
仮にどんな些細な夢であっても、その人なりに、自分の将来の夢や展望があれば、それを台無しにすることはまずしないはずです。
ありきたりのことですが、家族を大事にし、自分の仕事にそれなりに誇りを持ち、またたとえ小さくても自分なりの目標や夢を持っている人物なら、ストーカーにはならないと思います。
万が一そのような暴挙に出ても、警察、弁護士などからそれなりに警告をされると、おそらく目が覚めて我に戻り、少なくても殺傷行為までには至らないと思います。
そのようなタイプの人物かどうか見極めることは、それほど高いハードル、難しいハードルではありません。
もし、これから付き合う相手、今付き合っている相手がそのような人物かどうか慎重に見極めて欲しいと思います。
もし、先ほど述べたタイプに当てはまるのであれば、慎重に別れる方策を考えて(そして何人かの信頼できる方に相談して)慎重に事を進めて下さい。
投稿者 田瀬英敏法律事務所(恵比寿の弁護士) | 記事URL
2013年11月26日 火曜日
警察官の不祥事
警察官が不祥事を犯し、逮捕されたり、書類送検されたりすることが時々ニュースなどで報じられます。
その不祥事には極めて悪質な事案がある一方、それほど事を荒立てるまでもないような軽微な事案もあります。
そして、警察官の不祥事が報じられ、その事案が仮に軽微な不祥事であった場合でも、100%その警察官は依願退職した旨が報じられます。
逮捕および勾留後、起訴されてほぼ100%実刑判決が予想される悪質な不祥事の場合は、その警察官は懲戒免職になるのが当然ですが、軽微な不祥事で懲戒処分としては戒告程度の場合でも、警察官は100%退職せざるをえなくなるのが警察社会での「掟」のようです。
そのあたりを、以前から知り合いだった警察官僚(いわゆるキャリア組で"踊る大捜査線"で柳葉敏郎が演じていた「室井管理官」のような存在で、階級は警視正)とゴルフをする機会があったので、事情を聞いてみました。
すると、警察官が不祥事を犯し、その不祥事が免職事由に該当しない場合であっても、仮にその警察官が警察内部での処分(減給)のみ受けて、自分から退職願を出さない場合は、警察組織はありとあらゆる手法で、その警察官の第二の人生を妨害するとのことでした。
それゆえ、第二の人生を平穏に過ごしたいと思うのなら、自ら辞表を出して、その後は警察による就職のあっせんを受ける方が、はるかにプラスになると警察組織に身を置く者であれば誰でも考えるとのことでした。
もちろん、減給の懲戒処分を受けた警察官が辞表を出す義務はなく、もし組織としての徹底的な嫌がらせが仮に訴訟で争われた場合は、警察組織全体での違法行為が認定される可能性があることは、警察上層部も当然わかっているようなのですが、捨て身で警察組織に歯向かってくるような警察官はいないとタカを括っていると、そのキャリア警察官僚は言います。
警察という組織での常識は、世間の常識とかなりずれており、たとえ軽妙ではあっても不祥事を犯した警察官が事実上警察を辞めることになるのは、その典型例です。
民間の企業であれば、ややフライング気味な失敗をして減給などの処分を受けた社員がリベンジに燃えて、会社の業績アップにつながる大きな仕事を成し遂げるということはよく聞きます。
警察組織が民間の企業のように、ちょっとした過ちを犯した人を決して許さないのは、警察が国民の生命、財産、安全を守るための組織ということが理由かも知れませんが、何やら暗澹たる気持ちにならざるを得ません。
その不祥事には極めて悪質な事案がある一方、それほど事を荒立てるまでもないような軽微な事案もあります。
そして、警察官の不祥事が報じられ、その事案が仮に軽微な不祥事であった場合でも、100%その警察官は依願退職した旨が報じられます。
逮捕および勾留後、起訴されてほぼ100%実刑判決が予想される悪質な不祥事の場合は、その警察官は懲戒免職になるのが当然ですが、軽微な不祥事で懲戒処分としては戒告程度の場合でも、警察官は100%退職せざるをえなくなるのが警察社会での「掟」のようです。
そのあたりを、以前から知り合いだった警察官僚(いわゆるキャリア組で"踊る大捜査線"で柳葉敏郎が演じていた「室井管理官」のような存在で、階級は警視正)とゴルフをする機会があったので、事情を聞いてみました。
すると、警察官が不祥事を犯し、その不祥事が免職事由に該当しない場合であっても、仮にその警察官が警察内部での処分(減給)のみ受けて、自分から退職願を出さない場合は、警察組織はありとあらゆる手法で、その警察官の第二の人生を妨害するとのことでした。
それゆえ、第二の人生を平穏に過ごしたいと思うのなら、自ら辞表を出して、その後は警察による就職のあっせんを受ける方が、はるかにプラスになると警察組織に身を置く者であれば誰でも考えるとのことでした。
もちろん、減給の懲戒処分を受けた警察官が辞表を出す義務はなく、もし組織としての徹底的な嫌がらせが仮に訴訟で争われた場合は、警察組織全体での違法行為が認定される可能性があることは、警察上層部も当然わかっているようなのですが、捨て身で警察組織に歯向かってくるような警察官はいないとタカを括っていると、そのキャリア警察官僚は言います。
警察という組織での常識は、世間の常識とかなりずれており、たとえ軽妙ではあっても不祥事を犯した警察官が事実上警察を辞めることになるのは、その典型例です。
民間の企業であれば、ややフライング気味な失敗をして減給などの処分を受けた社員がリベンジに燃えて、会社の業績アップにつながる大きな仕事を成し遂げるということはよく聞きます。
警察組織が民間の企業のように、ちょっとした過ちを犯した人を決して許さないのは、警察が国民の生命、財産、安全を守るための組織ということが理由かも知れませんが、何やら暗澹たる気持ちにならざるを得ません。
投稿者 田瀬英敏法律事務所(恵比寿の弁護士) | 記事URL
2013年11月 7日 木曜日
闘将から名将に
日曜日に今年の日本シリーズが終わり、楽天が巨人を4勝3敗で下し、球団設立9年目にして初の日本一になり、星野仙一監督が球団設立年数と同じ9回、胴上げされて仙台の夜空に舞いました。
今年の日本シリーズは例年にない盛り上がりを見せ、視聴率も非常に高かったようです。
その原因は何と言っても震災で大きな被害を受けた東北の野球チームである楽天が日本シリーズに進んだことが、東北の復興とどこか重なって映り、全国から多くの声援を受けたことだと思います。
また、現役当時は巨人に立ち向かうことで野球人としてのモチーフを最大限に高め、巨人に勝つことに人生全てを賭けていた星野監督が日本一を賭けて巨人と対戦することも、興味をかき立てたように思います。
第6戦でマー君こと田中将大投手がまさかの敗戦を喫し、流れ的には巨人だったと思います。
しかし、最終戦は楽天ペースで試合が進み、最終回には前日160球の熱投をした田中投手が想定外のリリーフに登板しました。
そして、おそらく後々語り継がれると思われる「魂の15球」で巨人打線を力でねじ伏せて、初の日本一の栄冠に輝きました。
当方もテレビ中継を観ていましたが、解説者は田中投手の9回の登板はないと言っており、田中投手が9回に登板することになった際は絶句していたように思います。
そのことに関し、翌日の情報番組ではもしあの場面で落合監督なら絶対に田中投手の登板はなかったと断言していた評論家がいました。
2007年の中日と日本ハムとの間で争われた日本シリーズで8回終了時まで完全試合をしていた山井投手を最後の1イニングだけ岩瀬投手に代え、
結果的には日本一を達成したものの、その非情とも言うべき采配に賛否両論が巻き起こりました。
もし、星野監督ではなく落合監督であれば、全日160球を投げた田中投手の登板は絶対にあり得ず、その場面は好投していた則本投手を続投させていたと、その評論家は言うのです。
落合監督は、ある意味で勝つためには非情とも言える采配と振るうことができる監督で、名将の一人に数えてよいと思います。
星野監督は、どちらかと言うと、古いタイプの体育系の監督で、「俺についてこい」というタイプで、鉄拳制裁も辞さないとも聞いております。
それゆえ、星野監督は闘将というイメージが強かったと思います。
しかし、中日で2回、阪神と楽天で1回すつの計4回の優勝歴があり、そして初の日本一です。
プロ野球界には「名投手は名監督になれない」との格言があり、戦後大投手と言われた金田、稲尾と言った超名投手は監督としてそれほど際だった実績を残しておりません。
その他の大投手(名投手)も監督としては、正直言って芳しい結果を残しておりません。
その中で指揮を執った3球団全てで優勝という結果を残し、さらに日本一の栄冠を手にした星野監督は、これで紛れもなく名監督の仲間入りをしたと言ってよいでしょう。
闘将星野監督の肩書きに名将という新しい肩書きがついたのです。
おそらく、これまで名将と言われてきた監督(三原監督、水原監督、先日お亡くなりになられた川上監督など)は、どちらかと言えば冷静・沈着なタイプの監督でした。
おそらく名将と言われた監督に、闘将と呼ばれた監督はいなかったように思います。
闘将にして名将と言われる監督は、まさに星野監督が初めてだと思います。
今年の日本シリーズは例年にない盛り上がりを見せ、視聴率も非常に高かったようです。
その原因は何と言っても震災で大きな被害を受けた東北の野球チームである楽天が日本シリーズに進んだことが、東北の復興とどこか重なって映り、全国から多くの声援を受けたことだと思います。
また、現役当時は巨人に立ち向かうことで野球人としてのモチーフを最大限に高め、巨人に勝つことに人生全てを賭けていた星野監督が日本一を賭けて巨人と対戦することも、興味をかき立てたように思います。
第6戦でマー君こと田中将大投手がまさかの敗戦を喫し、流れ的には巨人だったと思います。
しかし、最終戦は楽天ペースで試合が進み、最終回には前日160球の熱投をした田中投手が想定外のリリーフに登板しました。
そして、おそらく後々語り継がれると思われる「魂の15球」で巨人打線を力でねじ伏せて、初の日本一の栄冠に輝きました。
当方もテレビ中継を観ていましたが、解説者は田中投手の9回の登板はないと言っており、田中投手が9回に登板することになった際は絶句していたように思います。
そのことに関し、翌日の情報番組ではもしあの場面で落合監督なら絶対に田中投手の登板はなかったと断言していた評論家がいました。
2007年の中日と日本ハムとの間で争われた日本シリーズで8回終了時まで完全試合をしていた山井投手を最後の1イニングだけ岩瀬投手に代え、
結果的には日本一を達成したものの、その非情とも言うべき采配に賛否両論が巻き起こりました。
もし、星野監督ではなく落合監督であれば、全日160球を投げた田中投手の登板は絶対にあり得ず、その場面は好投していた則本投手を続投させていたと、その評論家は言うのです。
落合監督は、ある意味で勝つためには非情とも言える采配と振るうことができる監督で、名将の一人に数えてよいと思います。
星野監督は、どちらかと言うと、古いタイプの体育系の監督で、「俺についてこい」というタイプで、鉄拳制裁も辞さないとも聞いております。
それゆえ、星野監督は闘将というイメージが強かったと思います。
しかし、中日で2回、阪神と楽天で1回すつの計4回の優勝歴があり、そして初の日本一です。
プロ野球界には「名投手は名監督になれない」との格言があり、戦後大投手と言われた金田、稲尾と言った超名投手は監督としてそれほど際だった実績を残しておりません。
その他の大投手(名投手)も監督としては、正直言って芳しい結果を残しておりません。
その中で指揮を執った3球団全てで優勝という結果を残し、さらに日本一の栄冠を手にした星野監督は、これで紛れもなく名監督の仲間入りをしたと言ってよいでしょう。
闘将星野監督の肩書きに名将という新しい肩書きがついたのです。
おそらく、これまで名将と言われてきた監督(三原監督、水原監督、先日お亡くなりになられた川上監督など)は、どちらかと言えば冷静・沈着なタイプの監督でした。
おそらく名将と言われた監督に、闘将と呼ばれた監督はいなかったように思います。
闘将にして名将と言われる監督は、まさに星野監督が初めてだと思います。
投稿者 田瀬英敏法律事務所(恵比寿の弁護士) | 記事URL
2013年10月25日 金曜日
最強の弁護人
先日の朝の情報番組で、一審の裁判員裁判で出された死刑判決が高裁で破棄されて無期懲役になったニュースの後追い報道をしていました。
千葉大学に通う女子大生が刑務所を出所して間もない男に金品を強奪された後に殺害され、遺体が燃やされたという極めて残忍な事件です。
犯人の男は、その事件の前後に強盗傷害、強盗強姦などの非道な犯罪を繰り返していたため、更生の可能性無しと判断され、一審では死刑判決が下ったものであります。
しかし、高裁は、犯行は計画性がなく殺意は現場で生じたものであり、そのような場合は被害者が1名である場合死刑を言い渡すことは先例に反するとして、一審の裁判員裁判での死刑判決を破棄して、無期懲役を言い渡しました。
情報番組では、被害者の親のどうしようもない怒りを放映していたが、親からすれば裁判員が様々な角度から検証し言い渡された死刑判決が、いとも簡単に職業裁判官らによって覆されたことは到底納得できないだろうと思います。
新聞や他のテレビ番組なども、この高裁の判決には疑問を呈するような報道が多かったように思います。
確かに計画性のない強盗殺人で被害者が1名の場合は死刑にしないというのが先例かもしれませんが、犯人はこの犯行の前後に凶悪非道な強盗傷害、強盗強姦などの犯罪を犯しており、しかも長期間服役した後に出所してすぐに凶悪事件に手を染めているわけですから、最早人間の皮をかぶった野獣と言っても良く、社会防衛の見地から当然死刑が言い渡されるべきでしょう。
犯人の弁護人が犯人の死刑を回避するために様々な理屈を述べるのは、それは弁護人の職責であり、当方も死刑判決を受けた犯人の弁護人を担当した経験があり、その経験からもこれは問題ないように思います。
しかし、この判決(高裁判決)では、裁判官が実質的に弁護人の役を果たしているようなものではないでしょうか。
裁判官はスポーツの世界の審判と同じですから、野球で例えるなら審判が塁上を駆け抜けようとする走者の進路を妨害するようなものであり、ボクシングで例えるなら強打を浴びてダウンしたボクサーの腕を取って抱き起こすようなもので、それは殆ど漫画というかギャグの世界です。
まさに、この裁判で犯人の男は、裁判官という無料で最強の弁護人に弁護されて死刑判決を言い渡されることを回避できたと言うべきでしょう。
この最強の弁護人は、おそらく日本中の弁護士が束になっても適わないくらいのスーパー弁護人です。
裁判員は、法律に精通していない一般市民によって構成されるため、明らかな判断間違いをしないように、職業裁判官も3人入っており、3人の職業裁判官のうちの1人が裁判員の結論を支持すれば、それが判決の結論となります。
それは、感情に流され、不当に重い判決を下すことを防ぐもので、正しい制度だと思います。
もとより、裁判員裁判は、裁判に出来る限り市民の感覚、意見を反映させるために設けられた制度です。
この事件は、若干死刑か無期か、職業裁判官でも意見が分かれるような微妙な事案かもしれません。
しかし、裁判員が様々な観点から検証した結果、死刑の判断をしたのですから、先例に反するという極めて抽象的な理由でその判断を覆すことは、裁判員裁判を司法府が自ら否定するようなものと言っても過言ではないかもしれません。
最高裁の判断が注目されます。
千葉大学に通う女子大生が刑務所を出所して間もない男に金品を強奪された後に殺害され、遺体が燃やされたという極めて残忍な事件です。
犯人の男は、その事件の前後に強盗傷害、強盗強姦などの非道な犯罪を繰り返していたため、更生の可能性無しと判断され、一審では死刑判決が下ったものであります。
しかし、高裁は、犯行は計画性がなく殺意は現場で生じたものであり、そのような場合は被害者が1名である場合死刑を言い渡すことは先例に反するとして、一審の裁判員裁判での死刑判決を破棄して、無期懲役を言い渡しました。
情報番組では、被害者の親のどうしようもない怒りを放映していたが、親からすれば裁判員が様々な角度から検証し言い渡された死刑判決が、いとも簡単に職業裁判官らによって覆されたことは到底納得できないだろうと思います。
新聞や他のテレビ番組なども、この高裁の判決には疑問を呈するような報道が多かったように思います。
確かに計画性のない強盗殺人で被害者が1名の場合は死刑にしないというのが先例かもしれませんが、犯人はこの犯行の前後に凶悪非道な強盗傷害、強盗強姦などの犯罪を犯しており、しかも長期間服役した後に出所してすぐに凶悪事件に手を染めているわけですから、最早人間の皮をかぶった野獣と言っても良く、社会防衛の見地から当然死刑が言い渡されるべきでしょう。
犯人の弁護人が犯人の死刑を回避するために様々な理屈を述べるのは、それは弁護人の職責であり、当方も死刑判決を受けた犯人の弁護人を担当した経験があり、その経験からもこれは問題ないように思います。
しかし、この判決(高裁判決)では、裁判官が実質的に弁護人の役を果たしているようなものではないでしょうか。
裁判官はスポーツの世界の審判と同じですから、野球で例えるなら審判が塁上を駆け抜けようとする走者の進路を妨害するようなものであり、ボクシングで例えるなら強打を浴びてダウンしたボクサーの腕を取って抱き起こすようなもので、それは殆ど漫画というかギャグの世界です。
まさに、この裁判で犯人の男は、裁判官という無料で最強の弁護人に弁護されて死刑判決を言い渡されることを回避できたと言うべきでしょう。
この最強の弁護人は、おそらく日本中の弁護士が束になっても適わないくらいのスーパー弁護人です。
裁判員は、法律に精通していない一般市民によって構成されるため、明らかな判断間違いをしないように、職業裁判官も3人入っており、3人の職業裁判官のうちの1人が裁判員の結論を支持すれば、それが判決の結論となります。
それは、感情に流され、不当に重い判決を下すことを防ぐもので、正しい制度だと思います。
もとより、裁判員裁判は、裁判に出来る限り市民の感覚、意見を反映させるために設けられた制度です。
この事件は、若干死刑か無期か、職業裁判官でも意見が分かれるような微妙な事案かもしれません。
しかし、裁判員が様々な観点から検証した結果、死刑の判断をしたのですから、先例に反するという極めて抽象的な理由でその判断を覆すことは、裁判員裁判を司法府が自ら否定するようなものと言っても過言ではないかもしれません。
最高裁の判断が注目されます。
投稿者 田瀬英敏法律事務所(恵比寿の弁護士) | 記事URL