田瀬法律事務所の日記

2014年4月 2日 水曜日

弁護士と司法書士、行政書士の違い

昨年の秋あたりから当事務所のホームページを見たという方からの相談、依頼が増え始めてきました。
本当にありがたいことだと思っております。
先日、ホームページの作成・管理をお願いしている広告代理店の方とホームページをどうブラッシュアップするかの打ち合せを何回かしました。
そのことが切っ掛けとなり、自分の事務所のホームページのブラッシュアップの参考になればと思って、いろいろな相談サイトをクリックしているのですが、法律相談関係のサイトは弁護士、司法書士、行政書士といういわゆる士業の他に探偵社やNPOなどが運営しているものも散見されました。
まず士業に限定すると、弁護士、司法書士、行政書士は料金の高い順番のように考えている方が結構多いのではないかと思います。
また弁護士はあらゆる法律業務を取り扱えるのに対し、司法書士は登記関係の仕事がメインで、行政書士は役所(行政機関)に出す書類を作成する仕事がメインであるとイメージされている方も多いと思います。
弁護士は民事、刑事、家事事件など、あらゆる事件に対応できますが、司法書士、行政書士も登記関係の仕事や役所に出す書類作成の仕事以外の一定の法律業務も取り扱うことが出来るのです。
司法書士なら認定司法書士という検定を受ければ、争いの金額が140万円までの事件については相手との交渉や裁判をすることができます。
行政書士は相手との交渉はできませんが(裁判に関する業務は一切できません)、既に相手との交渉などで決まったことを文書化、書面化することはできます。
このように司法書士、行政書士は本来の業務(司法書士なら登記業務、行政書士なら役所提出書類作成業務)の他に制限付きながら、法律業務に関与できるのです。
このことを、依頼する側がよく理解して、弁護士、司法書士、行政書士を使い分けているのであればよいのですが、相談する側も3つの士業の違いについて明確な理解がなく、また司法書士、行政書士の側も自分たちが制限された範囲でしか法律業務ができないということを相談者にきちんと説明しないでいると、往々にしてトラブルに発展するようです。
多くの司法書士、行政書士はそのような説明をした上で事件を受任していると思いますが、十分に説明のないまま結局降りる(辞任する)場合、依頼者は弁護士に一から依頼し直すことを余儀なくされることが多く、既に司法書士、行政書士に支払った費用の返還を巡ってトラブルになることが多いと聞きます。
司法書士の登記業務や行政書士の役所提出業務という本来の業務以外で司法書士、行政書士に法律業務を依頼する場合には、次に述べることを是非頭に入れておいてください。
まず司法書士ですが、争いの額が100万円に行くか行かないかという場合は依頼する意味はあると思います(弁護士より費用が安い場合が多いと思います)。
この場合は、争いの額がどんなに高くても140万円を超えないことについて、司法書士(場合によっては弁護士)によく相談すべきでしょう。
但し交通事故の場合、相手方は保険会社の担当者である場合が一般的で、保険会社は被害者代理人に司法書士が付くと、弁護士が代理人に付いた場合に比べ大幅に示談金額を値切ってきますので、注意が必要でしょう。
また、140万円以下の借金トラブルや家賃トラブルなどの解決を司法書士に依頼し、示談に持って行っても、相手方が支払わない場合、司法書士は強制執行をする法的権限がありません。
その場合は改めて弁護士に依頼するしかないでしょう。
行政書士は相手との交渉ができないわけですから、やれることが非常に限定的です。
行政書士は法律相談を受けることもできないと考えている弁護士もおりますが、当方は書類を作成する範囲で行政書士が法律相談を受けることは適法だと思っています。
それゆえ、内証証明郵便を出して相手の反応を見るだけとか、既に話がまとまった相手との示談の内容を文書化、書面化するだけの場合に限定して依頼する方がよいと思います。
時々、行政書士が弁護士にしか認められていない業務を行って逮捕されるというケースがあり、そのような場合、行政書士に支払った費用は返ってこないのが現実のようです。
また探偵業者、NPOなどがが男女関係、夫婦関係のトラブル解決を請け負うことを謳い文句にしているサイトがありますが、士業ではないこれらの業者や団体は人生相談はともかく、法律相談も受けることは弁護士法で禁止されており、警察に発覚すると逮捕されます。
そうすると依頼者は支払った費用の返還を現実的に受けられないばかりか、警察に参考人として呼ばれ(強制ではありませんが)、嫌な思いをされる可能性もあります。
それゆえ、士業でない会社や団体が男女、夫婦間のトラブルについての解決を謳い文句にしている場合は十分な注意が必要です。

投稿者 田瀬英敏法律事務所(恵比寿の弁護士) | 記事URL

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