田瀬法律事務所の日記

2013年11月26日 火曜日

警察官の不祥事

警察官が不祥事を犯し、逮捕されたり、書類送検されたりすることが時々ニュースなどで報じられます。
その不祥事には極めて悪質な事案がある一方、それほど事を荒立てるまでもないような軽微な事案もあります。
そして、警察官の不祥事が報じられ、その事案が仮に軽微な不祥事であった場合でも、100%その警察官は依願退職した旨が報じられます。
逮捕および勾留後、起訴されてほぼ100%実刑判決が予想される悪質な不祥事の場合は、その警察官は懲戒免職になるのが当然ですが、軽微な不祥事で懲戒処分としては戒告程度の場合でも、警察官は100%退職せざるをえなくなるのが警察社会での「掟」のようです。
そのあたりを、以前から知り合いだった警察官僚(いわゆるキャリア組で"踊る大捜査線"で柳葉敏郎が演じていた「室井管理官」のような存在で、階級は警視正)とゴルフをする機会があったので、事情を聞いてみました。
すると、警察官が不祥事を犯し、その不祥事が免職事由に該当しない場合であっても、仮にその警察官が警察内部での処分(減給)のみ受けて、自分から退職願を出さない場合は、警察組織はありとあらゆる手法で、その警察官の第二の人生を妨害するとのことでした。
それゆえ、第二の人生を平穏に過ごしたいと思うのなら、自ら辞表を出して、その後は警察による就職のあっせんを受ける方が、はるかにプラスになると警察組織に身を置く者であれば誰でも考えるとのことでした。
もちろん、減給の懲戒処分を受けた警察官が辞表を出す義務はなく、もし組織としての徹底的な嫌がらせが仮に訴訟で争われた場合は、警察組織全体での違法行為が認定される可能性があることは、警察上層部も当然わかっているようなのですが、捨て身で警察組織に歯向かってくるような警察官はいないとタカを括っていると、そのキャリア警察官僚は言います。
警察という組織での常識は、世間の常識とかなりずれており、たとえ軽妙ではあっても不祥事を犯した警察官が事実上警察を辞めることになるのは、その典型例です。
民間の企業であれば、ややフライング気味な失敗をして減給などの処分を受けた社員がリベンジに燃えて、会社の業績アップにつながる大きな仕事を成し遂げるということはよく聞きます。
警察組織が民間の企業のように、ちょっとした過ちを犯した人を決して許さないのは、警察が国民の生命、財産、安全を守るための組織ということが理由かも知れませんが、何やら暗澹たる気持ちにならざるを得ません。

投稿者 田瀬英敏法律事務所(恵比寿の弁護士) | 記事URL

2013年11月 7日 木曜日

闘将から名将に

日曜日に今年の日本シリーズが終わり、楽天が巨人を4勝3敗で下し、球団設立9年目にして初の日本一になり、星野仙一監督が球団設立年数と同じ9回、胴上げされて仙台の夜空に舞いました。
今年の日本シリーズは例年にない盛り上がりを見せ、視聴率も非常に高かったようです。
その原因は何と言っても震災で大きな被害を受けた東北の野球チームである楽天が日本シリーズに進んだことが、東北の復興とどこか重なって映り、全国から多くの声援を受けたことだと思います。
また、現役当時は巨人に立ち向かうことで野球人としてのモチーフを最大限に高め、巨人に勝つことに人生全てを賭けていた星野監督が日本一を賭けて巨人と対戦することも、興味をかき立てたように思います。
第6戦でマー君こと田中将大投手がまさかの敗戦を喫し、流れ的には巨人だったと思います。
しかし、最終戦は楽天ペースで試合が進み、最終回には前日160球の熱投をした田中投手が想定外のリリーフに登板しました。
そして、おそらく後々語り継がれると思われる「魂の15球」で巨人打線を力でねじ伏せて、初の日本一の栄冠に輝きました。
当方もテレビ中継を観ていましたが、解説者は田中投手の9回の登板はないと言っており、田中投手が9回に登板することになった際は絶句していたように思います。
そのことに関し、翌日の情報番組ではもしあの場面で落合監督なら絶対に田中投手の登板はなかったと断言していた評論家がいました。
2007年の中日と日本ハムとの間で争われた日本シリーズで8回終了時まで完全試合をしていた山井投手を最後の1イニングだけ岩瀬投手に代え、
結果的には日本一を達成したものの、その非情とも言うべき采配に賛否両論が巻き起こりました。
もし、星野監督ではなく落合監督であれば、全日160球を投げた田中投手の登板は絶対にあり得ず、その場面は好投していた則本投手を続投させていたと、その評論家は言うのです。
落合監督は、ある意味で勝つためには非情とも言える采配と振るうことができる監督で、名将の一人に数えてよいと思います。
星野監督は、どちらかと言うと、古いタイプの体育系の監督で、「俺についてこい」というタイプで、鉄拳制裁も辞さないとも聞いております。
それゆえ、星野監督は闘将というイメージが強かったと思います。
しかし、中日で2回、阪神と楽天で1回すつの計4回の優勝歴があり、そして初の日本一です。
プロ野球界には「名投手は名監督になれない」との格言があり、戦後大投手と言われた金田、稲尾と言った超名投手は監督としてそれほど際だった実績を残しておりません。
その他の大投手(名投手)も監督としては、正直言って芳しい結果を残しておりません。
その中で指揮を執った3球団全てで優勝という結果を残し、さらに日本一の栄冠を手にした星野監督は、これで紛れもなく名監督の仲間入りをしたと言ってよいでしょう。
闘将星野監督の肩書きに名将という新しい肩書きがついたのです。
おそらく、これまで名将と言われてきた監督(三原監督、水原監督、先日お亡くなりになられた川上監督など)は、どちらかと言えば冷静・沈着なタイプの監督でした。
おそらく名将と言われた監督に、闘将と呼ばれた監督はいなかったように思います。
闘将にして名将と言われる監督は、まさに星野監督が初めてだと思います。

投稿者 田瀬英敏法律事務所(恵比寿の弁護士) | 記事URL

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