田瀬法律事務所の日記
2012年11月15日 木曜日
裁判官の不祥事@恵比寿の弁護士のブログ
「司法改革」の名の下に司法試験合格者が大幅に増え、そのせいかどうかは十分な検証ができておりませんが、最近は比較的若年の弁護士が資格にかかわるような不祥事を犯すケースがよく報じられています。
本日、インターネットで、今年の8月下旬に電車内で盗撮をして逮捕された裁判官が弾劾裁判所から訴追されることになったというニュース記事を目にしました。
裁判官は、憲法でその地位が極めて強く保証されており、不祥事を犯してもすぐには処分を受けません。
不祥事を犯した裁判官が自ら辞表を出し、最高裁判所が辞表を受理すれば失職しますが、裁判官が不祥事を犯した場合、最高裁判所は辞表を受理せず、国会に設置された弾劾裁判所に送付する手続を取ります。
そして弾劾裁判所が、不祥事を犯した裁判官が罷免に相当するかどうの審議を行い、弾劾裁判所で罷免が相当であるという結論が出されると、その裁判官は「罷免」され、その結果、裁判官としての地位を失って、失職するのです。
これまでに弾劾裁判所で弾劾され、罷免された裁判官の多くは中年(40代から50代)で、理由は様々ですが、ここ最近の2例はいずれも裁判官としての資質を疑う理由で罷免されております。
1件は高等裁判所の裁判官が未成年の女子を買春したとして、2件目は地方裁判所の裁判官が、部下の女性職員に対するストーカー的なセクハラ行為をしたとして弾劾されて、共に罷免されております。
そして、今回弾劾裁判所から訴追されることになった大阪地裁の裁判官は平成22年12月の任官ということですので、任官して1年8ヶ月くらいで不祥事を犯し、自らの裁判官生命を風前の灯火にする結果を招いたようです。
おそらく、犯罪事実自体に争いはなく、その裁判官は盗撮の罪で略式起訴され、罰金50万円を納付しているので、これまでの例から考えると、99.9%罷免されることになると思います。
では、裁判官が仮に罷免された場合、その後の人生はどうなるのでしょうか?
まず弁護士登録することが考えられますが、これも相当厳しいと言わざるを得ません。
弁護士が弁護士として業務を行うには、弁護士が事務所を置く場所にある弁護士会に所属しなくてはなりません。
東京は3つの弁護士会があり、各都道府県にもそれぞれの弁護士会があります(但し北海道は4つの弁護士会があります)。
そして、弁護士会に入会しようという場合は、弁護士会の内部審査があります。
但し、過去に不祥事等がなければ、審査は形式的なもので、入会するのにそれほど問題はありません。
当方も、今所属している第二東京弁護士会に新規登録の際に審査を受けましたが、それは、書類だけの形式的な審査で、問題なく入会を許可されました。
しかし、裁判官、検察官だった者が不祥事を起こして失職し、弁護士会に入会を希望してもまず拒否されます。
また、ある弁護士会で不祥事を犯して弁護士資格を失った者が、一定期間後に別の弁護士会に入会を希望しても拒否されるケースが多いと聞きます。
前者については、弁護士会がある意味で法曹失格者の受け皿になるのは堪らないという思いがあるからです。
但し、例外的に入会が許可される場合があります。
過去に不祥事を犯し、裁判官を罷免された地方裁判所の裁判官は、その後勉学に勤しみ、さらに裁判官としての経験を元にして、様々な法律関係の論文を発表しました。
そのことが、過去の不祥事を反省し、社会のために尽力していると評価され、その裁判官は弁護士会への入会を許可されました。
今回、多分罷免になるであろう裁判官は、まだ20代後半です。
たった一瞬の過ちでせっかく手にした法曹の地位を手放す可能性が高く、今回のことは非常に高くついたと思いますが、先輩法曹としては、法曹復帰を目指して、再度勉学に勤しんで欲しいと思います。
本日、インターネットで、今年の8月下旬に電車内で盗撮をして逮捕された裁判官が弾劾裁判所から訴追されることになったというニュース記事を目にしました。
裁判官は、憲法でその地位が極めて強く保証されており、不祥事を犯してもすぐには処分を受けません。
不祥事を犯した裁判官が自ら辞表を出し、最高裁判所が辞表を受理すれば失職しますが、裁判官が不祥事を犯した場合、最高裁判所は辞表を受理せず、国会に設置された弾劾裁判所に送付する手続を取ります。
そして弾劾裁判所が、不祥事を犯した裁判官が罷免に相当するかどうの審議を行い、弾劾裁判所で罷免が相当であるという結論が出されると、その裁判官は「罷免」され、その結果、裁判官としての地位を失って、失職するのです。
これまでに弾劾裁判所で弾劾され、罷免された裁判官の多くは中年(40代から50代)で、理由は様々ですが、ここ最近の2例はいずれも裁判官としての資質を疑う理由で罷免されております。
1件は高等裁判所の裁判官が未成年の女子を買春したとして、2件目は地方裁判所の裁判官が、部下の女性職員に対するストーカー的なセクハラ行為をしたとして弾劾されて、共に罷免されております。
そして、今回弾劾裁判所から訴追されることになった大阪地裁の裁判官は平成22年12月の任官ということですので、任官して1年8ヶ月くらいで不祥事を犯し、自らの裁判官生命を風前の灯火にする結果を招いたようです。
おそらく、犯罪事実自体に争いはなく、その裁判官は盗撮の罪で略式起訴され、罰金50万円を納付しているので、これまでの例から考えると、99.9%罷免されることになると思います。
では、裁判官が仮に罷免された場合、その後の人生はどうなるのでしょうか?
まず弁護士登録することが考えられますが、これも相当厳しいと言わざるを得ません。
弁護士が弁護士として業務を行うには、弁護士が事務所を置く場所にある弁護士会に所属しなくてはなりません。
東京は3つの弁護士会があり、各都道府県にもそれぞれの弁護士会があります(但し北海道は4つの弁護士会があります)。
そして、弁護士会に入会しようという場合は、弁護士会の内部審査があります。
但し、過去に不祥事等がなければ、審査は形式的なもので、入会するのにそれほど問題はありません。
当方も、今所属している第二東京弁護士会に新規登録の際に審査を受けましたが、それは、書類だけの形式的な審査で、問題なく入会を許可されました。
しかし、裁判官、検察官だった者が不祥事を起こして失職し、弁護士会に入会を希望してもまず拒否されます。
また、ある弁護士会で不祥事を犯して弁護士資格を失った者が、一定期間後に別の弁護士会に入会を希望しても拒否されるケースが多いと聞きます。
前者については、弁護士会がある意味で法曹失格者の受け皿になるのは堪らないという思いがあるからです。
但し、例外的に入会が許可される場合があります。
過去に不祥事を犯し、裁判官を罷免された地方裁判所の裁判官は、その後勉学に勤しみ、さらに裁判官としての経験を元にして、様々な法律関係の論文を発表しました。
そのことが、過去の不祥事を反省し、社会のために尽力していると評価され、その裁判官は弁護士会への入会を許可されました。
今回、多分罷免になるであろう裁判官は、まだ20代後半です。
たった一瞬の過ちでせっかく手にした法曹の地位を手放す可能性が高く、今回のことは非常に高くついたと思いますが、先輩法曹としては、法曹復帰を目指して、再度勉学に勤しんで欲しいと思います。
投稿者 田瀬英敏法律事務所(恵比寿の弁護士) | 記事URL
2012年11月 9日 金曜日
ストーカーに狙われたら・・・@恵比寿の弁護士のブログ
先日、神奈川県の逗子市で非常に後味の悪い殺人事件が起きました。
かなり大きなニュースになっている事件ですが、その事件とは、以前交際していた女性に対し、
執拗なストーカー行為をしていた男性が、女性を殺害した挙句に、その現場で自分も自殺したという陰惨な事件です。
この事件では事件前の2ヶ月間で約1000通の脅迫メールが送られていたにもかかわらず、警察はストーカー規制法による取締ができなかったことが話題(一部非難)となっております。
ストーカー規制法は手紙、ファックスで被害者に対しつきまとい行為や脅迫をした場合に適用されるのに対し、メールによる脅迫は規定していないので、メールによる脅迫にストーカー規制法を適用しないのは杓子定規的だとの非難です。
ストーカー規制法を適用しなかったため、将来ある若い女性の命が奪われたことから、警察を非難したくなる気持ちはわからないでもありません。
しかし、刑事事件には「罪刑法定主義」という大原則があり、これは人に不利益を与える刑罰は法律で律することを要請する原則です。
そして、この「罪刑法定主義」から刑事事件における類推解釈・拡張解釈の禁止」という派生原則が発生するのです。
要は、刑罰に関する限り、できるだけ杓子定規的な運用をせよという原則です。
メールは手紙の電子版なので、ストーカー規制法において類推解釈が許されるなら、手紙を拡張解釈するとメールは手紙とも言えます。
しかし、このような解釈は許されませんので、警察も忸怩たる思いだったと、今から考えるとそう思います。
ストーカー規制法が成立した当初は、電子メールはそれほど社会で行き渡っておらず、法の網の目から漏れたのです。
しかし、数年前からメールは多くの国民に行き渡り、今では幼稚園児から70歳以上の高齢者までもが日常生活で普通にメールを使います。
そうすると、スト-カー規制法を改正して、メールに対する脅迫行為もストーカー規制法で取り締まれるようにすべきだったのです。
それゆえ、それをしていない政府の責任は重いと言わざるを得ません。
訴訟大国のアメリカであれば、このような事件が起きると、ほぼ間違いなく遺族が国(州)を訴え、その結果国(州)が敗訴する可能性が高いと思います。
日本であれば、遺族がそのような訴え(国家賠償訴訟)を起こす可能性は低く、仮に起こしても、現在の国家賠償訴訟の現状を見る限り、遺族が勝訴する可能性は非常に低いと思います。
ところで、当方も時々ストーカー被害に遭っている女性(時には男性)から相談を受けることがあります。
その場合は被害者と一緒に警察暑に行って被害届けを出したり、ストーカーに電話、メール等で警告をすることで、ストーカー被害は止むことが多いですが、当方は必ず相談者に次のように言います。
1 弁護士が力になってあげられる範囲は限界があること。
2 警察も警告を出したり、ストーカーを逮捕したり、また自宅の周りを重点的に見回ることはできても24時間ガードすることはできない
全てを失っても対象の異性につきまとい、最悪、対象の異性を殺害しても構わないと思っているストーカーに対しては、家族などの協力で自身の身を守るしか術がありません。
今回のようなストーカーによる殺人事件(というか一方的な無理心中事件です)が起きる度に当方は無力感に苛まれます。
非常にアバウトな言い方ですが、お付き合いを始める時点で、その相手はストーカーにならないタイプかを慎重に見極めるしかないのかもしれませんね。
かなり大きなニュースになっている事件ですが、その事件とは、以前交際していた女性に対し、
執拗なストーカー行為をしていた男性が、女性を殺害した挙句に、その現場で自分も自殺したという陰惨な事件です。
この事件では事件前の2ヶ月間で約1000通の脅迫メールが送られていたにもかかわらず、警察はストーカー規制法による取締ができなかったことが話題(一部非難)となっております。
ストーカー規制法は手紙、ファックスで被害者に対しつきまとい行為や脅迫をした場合に適用されるのに対し、メールによる脅迫は規定していないので、メールによる脅迫にストーカー規制法を適用しないのは杓子定規的だとの非難です。
ストーカー規制法を適用しなかったため、将来ある若い女性の命が奪われたことから、警察を非難したくなる気持ちはわからないでもありません。
しかし、刑事事件には「罪刑法定主義」という大原則があり、これは人に不利益を与える刑罰は法律で律することを要請する原則です。
そして、この「罪刑法定主義」から刑事事件における類推解釈・拡張解釈の禁止」という派生原則が発生するのです。
要は、刑罰に関する限り、できるだけ杓子定規的な運用をせよという原則です。
メールは手紙の電子版なので、ストーカー規制法において類推解釈が許されるなら、手紙を拡張解釈するとメールは手紙とも言えます。
しかし、このような解釈は許されませんので、警察も忸怩たる思いだったと、今から考えるとそう思います。
ストーカー規制法が成立した当初は、電子メールはそれほど社会で行き渡っておらず、法の網の目から漏れたのです。
しかし、数年前からメールは多くの国民に行き渡り、今では幼稚園児から70歳以上の高齢者までもが日常生活で普通にメールを使います。
そうすると、スト-カー規制法を改正して、メールに対する脅迫行為もストーカー規制法で取り締まれるようにすべきだったのです。
それゆえ、それをしていない政府の責任は重いと言わざるを得ません。
訴訟大国のアメリカであれば、このような事件が起きると、ほぼ間違いなく遺族が国(州)を訴え、その結果国(州)が敗訴する可能性が高いと思います。
日本であれば、遺族がそのような訴え(国家賠償訴訟)を起こす可能性は低く、仮に起こしても、現在の国家賠償訴訟の現状を見る限り、遺族が勝訴する可能性は非常に低いと思います。
ところで、当方も時々ストーカー被害に遭っている女性(時には男性)から相談を受けることがあります。
その場合は被害者と一緒に警察暑に行って被害届けを出したり、ストーカーに電話、メール等で警告をすることで、ストーカー被害は止むことが多いですが、当方は必ず相談者に次のように言います。
1 弁護士が力になってあげられる範囲は限界があること。
2 警察も警告を出したり、ストーカーを逮捕したり、また自宅の周りを重点的に見回ることはできても24時間ガードすることはできない
全てを失っても対象の異性につきまとい、最悪、対象の異性を殺害しても構わないと思っているストーカーに対しては、家族などの協力で自身の身を守るしか術がありません。
今回のようなストーカーによる殺人事件(というか一方的な無理心中事件です)が起きる度に当方は無力感に苛まれます。
非常にアバウトな言い方ですが、お付き合いを始める時点で、その相手はストーカーにならないタイプかを慎重に見極めるしかないのかもしれませんね。
投稿者 田瀬英敏法律事務所(恵比寿の弁護士) | 記事URL
2012年11月 2日 金曜日
話題の事件と弁護士の不祥事@恵比寿の弁護士のブログ
現在、連日、新聞の社会面やニュース、テレビの情報番組を賑わしているのは、
尼崎で起きた大量の怪死事件です。
つい先日も岡山県の小さな漁港でコンクリート詰めされた男性の遺体が発見さ
れ、事件は猟奇的な色彩を帯び始めています。
大量の怪死事件の中心に位置するのが、60歳代の女性で、この女性の写真とし
て別人の写真が使われ、
それを載せたマスコミを中心とする報道機関は一切にお詫びをせざるを得ない状
況に追い込まれ、まだ当分話題になることは必至でしょう。
あまり報道されておらず、一部のサイトでの報道で非常に驚くことを知りました。
事件の首謀者とされる女性の弟が大阪の弁護士に難癖を付けて3億円以上を脅し
取った罪で平成20年に懲役14年の判決を受け、
その被害者ともいうべき弁護士が工面して尼崎大量怪死事件の首謀者とされる女
性の弟に支払ったお金は、依頼者である交通事故の遺族に渡すべき
保険金や遺産相続などで相手方から受け取り、これも依頼者に渡すべきお金だっ
たので、この弁護士も業務上横領の罪で起訴され、
同じ年に懲役9年の判決を受けたことです。
この弁護士(現在は元弁護士)はどんなことで犯人から難癖を付けられたのかわ
かりませんが、
自分にある程度は非があるなら、話し合いをしてお金を支払う方向に持って行く
べきだったと思います。
また、自分に非がなく、犯人の不当な言いがかりであったならば、言われるまま
に弁護士が絶対にやってはいけない禁じ手「依頼者の預かり金に手を付ける」に
出る必要はなく、
警察に訴えるなどして自身の身を守るべきではなかったでしょうか。
おそらく、言われるままに極端に多額のお金を、禁じ手を犯してまで渡している
ということは、つけ込まれても仕方ない弱みを握られていたような気がします。
それでも、仮に一定の不利益(弁護士会から業務停止などの処分を受けたりする
など)を受けたとしても、犯罪者になり、弁護士資格を失うことを考えれば、
絶対に禁じ手に出るべき必要はなかったと思います。
もちろん、この事件と尼崎の大量怪死事件は直接の関係はないと思いますが、今
後大量怪死事件の捜査が進んだ場合、
週刊誌などが記事にする可能性はあるかもしれませんね。
尼崎の大量怪死事件と弁護士の不祥事が思わぬ形で繋がって非常に驚いております。
尼崎で起きた大量の怪死事件です。
つい先日も岡山県の小さな漁港でコンクリート詰めされた男性の遺体が発見さ
れ、事件は猟奇的な色彩を帯び始めています。
大量の怪死事件の中心に位置するのが、60歳代の女性で、この女性の写真とし
て別人の写真が使われ、
それを載せたマスコミを中心とする報道機関は一切にお詫びをせざるを得ない状
況に追い込まれ、まだ当分話題になることは必至でしょう。
あまり報道されておらず、一部のサイトでの報道で非常に驚くことを知りました。
事件の首謀者とされる女性の弟が大阪の弁護士に難癖を付けて3億円以上を脅し
取った罪で平成20年に懲役14年の判決を受け、
その被害者ともいうべき弁護士が工面して尼崎大量怪死事件の首謀者とされる女
性の弟に支払ったお金は、依頼者である交通事故の遺族に渡すべき
保険金や遺産相続などで相手方から受け取り、これも依頼者に渡すべきお金だっ
たので、この弁護士も業務上横領の罪で起訴され、
同じ年に懲役9年の判決を受けたことです。
この弁護士(現在は元弁護士)はどんなことで犯人から難癖を付けられたのかわ
かりませんが、
自分にある程度は非があるなら、話し合いをしてお金を支払う方向に持って行く
べきだったと思います。
また、自分に非がなく、犯人の不当な言いがかりであったならば、言われるまま
に弁護士が絶対にやってはいけない禁じ手「依頼者の預かり金に手を付ける」に
出る必要はなく、
警察に訴えるなどして自身の身を守るべきではなかったでしょうか。
おそらく、言われるままに極端に多額のお金を、禁じ手を犯してまで渡している
ということは、つけ込まれても仕方ない弱みを握られていたような気がします。
それでも、仮に一定の不利益(弁護士会から業務停止などの処分を受けたりする
など)を受けたとしても、犯罪者になり、弁護士資格を失うことを考えれば、
絶対に禁じ手に出るべき必要はなかったと思います。
もちろん、この事件と尼崎の大量怪死事件は直接の関係はないと思いますが、今
後大量怪死事件の捜査が進んだ場合、
週刊誌などが記事にする可能性はあるかもしれませんね。
尼崎の大量怪死事件と弁護士の不祥事が思わぬ形で繋がって非常に驚いております。
投稿者 田瀬英敏法律事務所(恵比寿の弁護士) | 記事URL
2012年11月 1日 木曜日
福岡県で続発する弁護士不祥事@恵比寿の弁護士のブログ
雑用に追われ暫く日記の更新をせずにおりました。
久し振りに日記の更新をします。
更新後の初めての話題は、恥ずかしい話ですが弁護士の不祥事のお話です。
今日、パソコンのインターネットを開いてニュースを見ていたところ、福岡県弁護士会所属の60歳代の弁護士が、認知症など財産管理能力をなくした人の財産を管理する後見人を後見活動を監督する後見監督人という立場を悪用して、後見人から1800万円を騙し取った容疑で警察に逮捕されたという記事を目にしました。
弁護士がその地位を悪用して他人から金を騙し取ったり、依頼者から預かったて管理している金を使い込み警察に逮捕される不祥事は時々あり、そのような事件がニュースや新聞で報道されるたびに、ごく一部の悪い弁護士のために、真面目に仕事をしている圧倒的多くの弁護士は肩身の狭い思いに駆られることを思うと、自分自身の心も重くなってしまいます。
ただ、福岡県では、近年、弁護士の不祥事が多発しており、これは明らかに異常なことだと思います。
昨年秋から冬ににかけて、福岡県では弁護士の不祥事が続発しました。
昨年7月、被害金額が何と5億円にのぼる詐欺と業務上横領の容疑で起訴されていた50歳代の弁護士に対し、懲役14年の判決が下ったのを皮切りに、10月には約2000万円近い使い込み(業務上横領)をした60歳代の弁護士に懲役3年(執行猶予5年)の判決が下り、11月には依頼人から預かった2500万円を使い込みした40歳代の弁護士が自ら警察に自首し、さらに自己破産をしました(自己破産によって弁護士資格が自動的に無くなります)。
そして今回の後見監督人の地位を悪用して不正に金を騙し取って逮捕された60歳代の弁護士の事件です。
岡県での弁護士の不祥事の連鎖は止まるところをしりません。
この4人は40歳代から60歳代であり、平均すると55歳くらいで、弁護士として一番油が乗る時期に、まさに、「万死に値する」と言うべき不祥事に手を染めており、私は「あなたたち、一体何を考えているのか」と思わず怒鳴りつけたい気持ちになりました。
不祥事を犯した本人達も、そのことが発覚した場合は弁護士資格が無くなることは当然知った上でのことであり、おそらく何か理由があってのことだと思いますが、どのような理由があったとしても、弁護士として、人として、絶対にやってはいけないことをどうしてやってしまったのか、非常に理解に苦しみます。
私も事務所を経営するようになって10年以上経ちますが、弁護士業は基本的には依頼人の方に来て頂き、依頼を受けないと収入は発生しません。
もちろん、費用が国から支払われる国選弁護の事件などもありますが、基本は一般の市民の方や法人(会社、団体)などからの依頼(その多くは民事の依頼)が収入の大半です。
それゆえ、オフィスビルやマンションを棟単位で所有し、それによる家賃収入が安定的に入るごく一部の弁護士を除いたく多くの弁護士の収入は、月によって当然ばらつきがあり、月によっては人件費や事務所の家賃、税金といった経費を支払い、最後に自分の生活費を取ると赤字になる月も出てきます。
私の事務所も例外ではなく、赤字の月も出ることがあります。
だし、そのような場合に備え、黒字の月にはできるだけ多くのお金を預金して、それを赤字の月の補てんに使っています。
ちろん、圧倒的に多くの弁護士は、赤字の月が出た場合であっても、翌月は経費を切りつめたり、無駄な出費をしないように気を遣うなどの方法でマイナスを最小限に止める努力をしており、預かっている依頼者のお金に手を付けるような犯罪行為は絶対にしません。
弁護士の数が約1000人の福岡県弁護士会で、立て続けに絶対に許されない犯罪に手を染める弁護士が出たこと自体極めて異常であると言わざるを得ません。
おそらく地元ではかなり大きく報道されていると思いますので、福岡県弁護士会所属の多くの弁護士は非常に肩身の狭い思いをしているに違いありません。
その意味で、福岡県弁護士会の一連の不祥事に関与した弁護士たち(そのうち3人が弁護士資格を失ったので、『元弁護士』となりました。今日報道された弁護士もいずれは『元弁護士』になるでしょう)の罪は、手を染めた犯罪以上に重いと言わざるを得ません。
久し振りに日記の更新をします。
更新後の初めての話題は、恥ずかしい話ですが弁護士の不祥事のお話です。
今日、パソコンのインターネットを開いてニュースを見ていたところ、福岡県弁護士会所属の60歳代の弁護士が、認知症など財産管理能力をなくした人の財産を管理する後見人を後見活動を監督する後見監督人という立場を悪用して、後見人から1800万円を騙し取った容疑で警察に逮捕されたという記事を目にしました。
弁護士がその地位を悪用して他人から金を騙し取ったり、依頼者から預かったて管理している金を使い込み警察に逮捕される不祥事は時々あり、そのような事件がニュースや新聞で報道されるたびに、ごく一部の悪い弁護士のために、真面目に仕事をしている圧倒的多くの弁護士は肩身の狭い思いに駆られることを思うと、自分自身の心も重くなってしまいます。
ただ、福岡県では、近年、弁護士の不祥事が多発しており、これは明らかに異常なことだと思います。
昨年秋から冬ににかけて、福岡県では弁護士の不祥事が続発しました。
昨年7月、被害金額が何と5億円にのぼる詐欺と業務上横領の容疑で起訴されていた50歳代の弁護士に対し、懲役14年の判決が下ったのを皮切りに、10月には約2000万円近い使い込み(業務上横領)をした60歳代の弁護士に懲役3年(執行猶予5年)の判決が下り、11月には依頼人から預かった2500万円を使い込みした40歳代の弁護士が自ら警察に自首し、さらに自己破産をしました(自己破産によって弁護士資格が自動的に無くなります)。
そして今回の後見監督人の地位を悪用して不正に金を騙し取って逮捕された60歳代の弁護士の事件です。
岡県での弁護士の不祥事の連鎖は止まるところをしりません。
この4人は40歳代から60歳代であり、平均すると55歳くらいで、弁護士として一番油が乗る時期に、まさに、「万死に値する」と言うべき不祥事に手を染めており、私は「あなたたち、一体何を考えているのか」と思わず怒鳴りつけたい気持ちになりました。
不祥事を犯した本人達も、そのことが発覚した場合は弁護士資格が無くなることは当然知った上でのことであり、おそらく何か理由があってのことだと思いますが、どのような理由があったとしても、弁護士として、人として、絶対にやってはいけないことをどうしてやってしまったのか、非常に理解に苦しみます。
私も事務所を経営するようになって10年以上経ちますが、弁護士業は基本的には依頼人の方に来て頂き、依頼を受けないと収入は発生しません。
もちろん、費用が国から支払われる国選弁護の事件などもありますが、基本は一般の市民の方や法人(会社、団体)などからの依頼(その多くは民事の依頼)が収入の大半です。
それゆえ、オフィスビルやマンションを棟単位で所有し、それによる家賃収入が安定的に入るごく一部の弁護士を除いたく多くの弁護士の収入は、月によって当然ばらつきがあり、月によっては人件費や事務所の家賃、税金といった経費を支払い、最後に自分の生活費を取ると赤字になる月も出てきます。
私の事務所も例外ではなく、赤字の月も出ることがあります。
だし、そのような場合に備え、黒字の月にはできるだけ多くのお金を預金して、それを赤字の月の補てんに使っています。
ちろん、圧倒的に多くの弁護士は、赤字の月が出た場合であっても、翌月は経費を切りつめたり、無駄な出費をしないように気を遣うなどの方法でマイナスを最小限に止める努力をしており、預かっている依頼者のお金に手を付けるような犯罪行為は絶対にしません。
弁護士の数が約1000人の福岡県弁護士会で、立て続けに絶対に許されない犯罪に手を染める弁護士が出たこと自体極めて異常であると言わざるを得ません。
おそらく地元ではかなり大きく報道されていると思いますので、福岡県弁護士会所属の多くの弁護士は非常に肩身の狭い思いをしているに違いありません。
その意味で、福岡県弁護士会の一連の不祥事に関与した弁護士たち(そのうち3人が弁護士資格を失ったので、『元弁護士』となりました。今日報道された弁護士もいずれは『元弁護士』になるでしょう)の罪は、手を染めた犯罪以上に重いと言わざるを得ません。
投稿者 田瀬英敏法律事務所(恵比寿の弁護士) | 記事URL