田瀬法律事務所の日記

2011年12月 6日 火曜日

少し堅苦しいお話をしたようなので

弁護士の田瀬です。
前回は、刑事事件と死刑という、非常に固くまた重苦しいお話をしたので、今回は話題を変えて、ちょっと法律の話から離れてスポーツ(プロ野球)のお話をしたいと思います。
  先日、中日対ソフトバンクの日本シリーズが行われ、戦前は圧倒的有利と言われていたソフトバンクが中日の奮闘に思わぬ苦戦を強いられて最終戦までもつれ、ソフトバンクが追いすがる中日を何とか振り切って、栄えある日本一の栄冠を手にしました。
  7戦のうち、5点以上の大量得点をした試合は1試合だけで、残りの6戦は1点、2点を争う緊迫した試合で、近年稀に見る密度の濃い日本シリーズだったと思います。
  私も最終戦は家のテレビで観戦していました。
  中日の最後のバッターの和田選手が空振り三振をしてゲームセットになった瞬間に、ソフトバンクのベンチから全選手がマウンドに駆け寄り、大きな輪を作って万歳三唱を始め、やがて秋山監督がマウンドに駆け寄ると、恒例の優勝監督の胴上げが始まり、秋山監督の体が何回も宙に舞いました。
  その後、ソフトバンクのベンチから、球団のジャンパーを身にまとった孫オーナーが、両手を大きく上げてマウンドに走り寄り、選手と握手をしたり、抱き合ったりして、日本一の喜びを全身で表しておりました。
  そのうち、選手が孫オーナーを担ぎ上げて、胴上げが始まりました。
  小柄な孫オーナーの体は秋山監督より高く宙に舞い、私も見ていて、とても清々しい気持ちになりました。
  私は日本シリーズで優勝が決まった後の監督の胴上げシーンは過去に数え切れないくらい見ておりますが、オーナーが胴上げされたシーンは見たことがありません。
  高校野球なら、校長先生が、大学野球なら学長(総長)が胴上げされるようなものでしょう。
  ソフトバンクは、非常に長いシリーズになった上戸彩とお父さんの犬のCM(白戸家シリーズ)が引き続き好評で、今回の孫オーナーの胴上げシーンはソフトバンクの更なるイメージアップに繋がったと思います。
  それに引き換え、球界の盟主を標榜するジャイアンツのあの体たらくは一体何なのでしょう。
  プロ野球の1年の総決算とも言うべき日本シリーズの始まる前に、清武前代表が球団内部の人事抗争をさらけだすような形で記者会見を行ったことが戦いの火ぶたとなって、その後も「ああ言えば、こう言う」パターンで清武前代表と渡邊会長とが互いを罵り合い、挙句の果てに双方が法廷闘争を宣言し合う始末です(マスコミネタとしては面白いネタだと思います)。
  ソフトバンクが日本一になった瞬間に、これが人生最大の喜びであるかのように、マウンドに走り寄って選手から胴上げをされ、顔くしゃくしゃにして宙に舞っていた孫オーナーの清々しい姿に比べ、ジャイアンツは老醜の極みにような渡邊会長の傲岸不遜な態度と、人事抗争を公表した際に泣きながら貴社会見をした清武前球団代表の軟弱振りが、鮮やかなコントラストを描いていたような気がします。
  若干法律の話になりますが、ちょっとだけお付き合い下さい。
  渡邊会長と清武前代表との法廷闘争は、渡邊会長が圧倒的に有利です。
  渡邊会長のこれまでのやり方は、道義的、常識的な見方からすると、やや疑問符が付くものもあり、私は渡邊会長は政治記者としては大変優秀だったと思いますが、ジャイアンツのトップに君臨するようになってからは、晩節を汚すような振る舞いばかりが目立つように思われます。
  しかし、清武前代表が、渡邊会長のことを、オリンパスの損失隠しに関与した最高幹部や、カジノで100億円以上費消した大王製紙の前会長と同じレベルで捉えて語るのは極めて問題だと思います。
 私はその1点だけで、清武前代表の資質には疑問符が付くと思います。
  オリンパスの最高幹部や大王製紙の前会長のやったことは明白な犯罪行為です(現に大王製紙の前会長は特別背任という罪で逮捕されました)が、渡邊会長の振るまいや今回批判されていることは、道義的にはともかく、犯罪ではありません。
  それゆえ、オリンパスの解任された英国人の元社長が最高幹部を糾弾する会見をすることは社会的な意味が大いにありますが、球団内部の人事抗争を殊更に公表して渡邊会長を糾弾する清武前代表のやり方に対し、支持が全くと言ってよいくらい集まらないのは、ある意味で当然のように思います。
  また日本シリーズの話にちょっと戻ります。
  今回惜しくもソフトバンクに敗れた中日の落合前監督は、ペナントレース最終盤に、優勝し続けても観客動員数が伸びないという、訳のわからない理由で今期限りでの解任を一方的に通告されたにもかかわらず、その後驚異的な勝率でヤクルトを捕えてセリーグのペナントレースを制し、圧倒的不利が予想された日本シリーズでも戦前の予想を覆して、日本一まであと一歩のところまで詰め寄りました。
  その間、一言も球団に対する不満を公には言わず、黙々とセリーグの優勝と日本一を目指して寡黙に邁進し続けた落合監督の男の美学も光っていました。
  以上、今年のプロ野球は終盤に大きなドラマがあって、大いに盛り上がったのですが、同時に、球界の盟主を標榜するジャイアンツが、その盛り上がりに水をかけるような振る舞いをして、球界の盟主の醜態をさらけ出したシーズンだったと思います。

投稿者 田瀬英敏法律事務所(恵比寿の弁護士) | 記事URL

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