田瀬法律事務所の日記

2014年8月14日 木曜日

まんだらけの犯人画像公開の是非

都内の有名漫画店が、店内で販売していた時代物の玩具を万引した犯人の画像を公開するかしないかが注目されていた事案で、店は制限時間ぎりぎりのところで、警察の捜査に委ねるとして画像を公開しないことに踏み切りました。
このニュースは新聞、テレビで広く報道され、賛否両論が寄せられ大きな社会的関心を集めました。
画像公開に賛成する意見は、小規模な商店は万引被害のため店を閉店せざるを得なくなるケースもあり、一罰百戒の意味で画像を公開するべきだというものです。
これに対し、(弁護士などに多かった意見ですが)現代国家が認めていない自力救済を肯定することになり、それは私刑を肯定するもので裁判制度の否定に繋がるというものでした。
双方の意見共に一長一短あり、どちらが正しいのかは簡単に決めることはできないと思います。
当方は、建前的には(当然弁護士としての職業を背景にした意見ですが)画像公開否定意見です。
しかし、想像以上に万引の被害によって商店は経済的に打撃を受けており、それを考えるのであれば画像を公開して一罰百戒的な効能を狙うこともやむを得ないというのが本音です。
万引という犯罪は古典的な犯罪で、犯罪の基本的な形です。
それを防止するためには、防犯カメラを数多く設置し、警備員の数を増やすことが一番ですが、小規模な商店では無理な相談です。
2年くらい前、司法修習の同期会があり、そこには検察官も参加してゴルフをしたのですが、その後の飲み会で検察官が示唆に富む発言をしていましたので紹介します。
それは、高齢者を警備員として安い賃金で雇用してはどうかというものでした。
それによって高齢者は、社会のために働いているという自覚が生まれ、ある程度の小遣銭を稼ぐことができ、店側も人件費のコストを抑えることができるというのです。
そして、個々の店が個別に高齢者を雇うのではなく、全国的な組合組織で高齢者を組織して要請のあった店舗に派遣するというものです。
この方法では、人的資源の有効活用と防犯対策が同時に行うことができ、若干ではありますが景気の刺激にもなります。
当方はこの話を聞いてなるほどと思いました。
読者の方はどうお考えでしょうか?

投稿者 田瀬英敏法律事務所(恵比寿の弁護士)

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