田瀬法律事務所の日記
2014年7月28日 月曜日
心にナイフをしのばせて(その1)
週末、日本列島を震撼させるニュースが駆け巡りました。
長崎県で高校1年の女子生徒が同級生の女子生徒を自室で殺害し、その首、手などを切断したという猟奇的な殺人事件のニュースです。
未成年者による猟奇的な殺人事件としては平成9年神戸市内で起きた酒鬼薔薇を名乗る中学生による児童殺人、切断事件が有名ですが、今回の長崎県の事件と同じような事件を同学年の男子生徒がが加害者と被害者になった事件を思い出しました。
事件は、今から44年前の昭和45年に川崎市内の私立のミッション系男子校で起きました。
日頃から被害者生徒にいじめられていた加害者生徒が被害者生徒をナイフで刺殺し、その後被害者の首を切断したというもので、その当時は大変衝撃的な事件として報道され、連日新聞やテレビはそのニュースを報じていた記憶が甦りました。
今回、殺害された被害者の女子生徒と加害者の女子生徒との間にいじめがあったかどうかはわかっておりませんが、15歳の女子生徒を殺害した後でその首や手を切断するというのは、両者の間に凄まじいまでの葛藤があったことは確かで、今後警察は、未成年者である被害者、加害者のプライバシーに十分配慮しつつ、慎重に捜査をすることが求められると思います。
今から44年前に起きた男子生徒が起こした同じような事件ですが、その事件はその後大きな動きを見せました。
それは、一部のテレビ、週刊誌等で若干の報道があったようですが、大きなニュースにはなりませんでした。
44年前の加害者生徒は事件後初等少年院に収容された後、大学に進学して司法試験に合格して弁護士になっていたのです。
それは、事件後の被害者家族を取材していたルポライターの奥野修司さんの取材から明らかになったのです。
奥野さんは、その経緯を「心にナイフをしのばせて」という本に纏めました。
その後、インターネットで、その弁護士の実名も明らかとなり、一部メディアがその弁護士のもとに取材に来ました。
当時(数年前です)北関東の中都市でそれなりの規模の事務所を構えていたその弁護士は、間もなく弁護士を廃業しました。
結婚して子供もいたようですが、その後家族とも縁を切ったのかどうかはわかりません。
その弁護士が司法試験に合格する時期より以前の大学に進学した時点で、過去のおぞましい犯歴があったことを知っていた人はいなかったでしょう。
もちろん、彼の(親兄弟など彼の側の身内を除く)家族、事務所のスタッフ、親しい弁護士もそうだったと思います。
司法試験は95%が学力審査で、5%が人物審査と言うのを以前聞いたことがあります。
人物審査というのは、司法試験には最終試験として口述試験があり、法的な問答をすることで、極端に偏った考え方をする者を排除するため、そのように言われるようです。
このように、司法試験では受験者の過去は一切問われないため、過去におぞましい犯罪を犯した人物でも合格することが出来ます。
しかし、司法試験に合格した者を、裁判官、検察官、弁護士という実務家に登用する際に何のチェックもないのでしょうか。
それについては次回に稿を改めたいと思います。
長崎県で高校1年の女子生徒が同級生の女子生徒を自室で殺害し、その首、手などを切断したという猟奇的な殺人事件のニュースです。
未成年者による猟奇的な殺人事件としては平成9年神戸市内で起きた酒鬼薔薇を名乗る中学生による児童殺人、切断事件が有名ですが、今回の長崎県の事件と同じような事件を同学年の男子生徒がが加害者と被害者になった事件を思い出しました。
事件は、今から44年前の昭和45年に川崎市内の私立のミッション系男子校で起きました。
日頃から被害者生徒にいじめられていた加害者生徒が被害者生徒をナイフで刺殺し、その後被害者の首を切断したというもので、その当時は大変衝撃的な事件として報道され、連日新聞やテレビはそのニュースを報じていた記憶が甦りました。
今回、殺害された被害者の女子生徒と加害者の女子生徒との間にいじめがあったかどうかはわかっておりませんが、15歳の女子生徒を殺害した後でその首や手を切断するというのは、両者の間に凄まじいまでの葛藤があったことは確かで、今後警察は、未成年者である被害者、加害者のプライバシーに十分配慮しつつ、慎重に捜査をすることが求められると思います。
今から44年前に起きた男子生徒が起こした同じような事件ですが、その事件はその後大きな動きを見せました。
それは、一部のテレビ、週刊誌等で若干の報道があったようですが、大きなニュースにはなりませんでした。
44年前の加害者生徒は事件後初等少年院に収容された後、大学に進学して司法試験に合格して弁護士になっていたのです。
それは、事件後の被害者家族を取材していたルポライターの奥野修司さんの取材から明らかになったのです。
奥野さんは、その経緯を「心にナイフをしのばせて」という本に纏めました。
その後、インターネットで、その弁護士の実名も明らかとなり、一部メディアがその弁護士のもとに取材に来ました。
当時(数年前です)北関東の中都市でそれなりの規模の事務所を構えていたその弁護士は、間もなく弁護士を廃業しました。
結婚して子供もいたようですが、その後家族とも縁を切ったのかどうかはわかりません。
その弁護士が司法試験に合格する時期より以前の大学に進学した時点で、過去のおぞましい犯歴があったことを知っていた人はいなかったでしょう。
もちろん、彼の(親兄弟など彼の側の身内を除く)家族、事務所のスタッフ、親しい弁護士もそうだったと思います。
司法試験は95%が学力審査で、5%が人物審査と言うのを以前聞いたことがあります。
人物審査というのは、司法試験には最終試験として口述試験があり、法的な問答をすることで、極端に偏った考え方をする者を排除するため、そのように言われるようです。
このように、司法試験では受験者の過去は一切問われないため、過去におぞましい犯罪を犯した人物でも合格することが出来ます。
しかし、司法試験に合格した者を、裁判官、検察官、弁護士という実務家に登用する際に何のチェックもないのでしょうか。
それについては次回に稿を改めたいと思います。
投稿者 田瀬英敏法律事務所(恵比寿の弁護士)