田瀬法律事務所の日記

2014年4月10日 木曜日

リケジョの涙・・・

昨日、ここ暫く社会面の話題を独占していた感のある理研の小保方さんの会見が行われ、昨日の夕方から本日にかけて、ニュースはそれ一色に染まった感じです。
年明け早々に「リケジョの星」として割烹着姿で鮮烈なマスコミデビューをして間もなく、論文のねつ造、データの改ざんなどの疑惑が噴出し、マスコミが散々ヒロインとして持ち上げておきながら、疑惑が出ると途端に揚げ足を取ったような報道をするマスコミの怖さを思い知らされたと感じた国民は多いと思います。
当方は昨日の生会見は仕事で外出していた関係で見ることはできませんでしたが、帰宅してからいくつかのチャンネルのニュースで見ました。
今朝の情報番組では、総じて、会見の録画を流す一方で、専門家、一般市民が会見を見てどう感じたかを報じていました。
当方も全ての今朝の情報番組を見た訳ではありませんが、概ね専門家は辛口の評価、一般市民は評価が分かれるというところでしょうか。
専門家の多くは、小保方さんが論文のねつ造や改ざんをしていないことを示す積極的な証拠を提示することができなかったため、反論会見としては説得力が非常に弱いとの評価をしています。
それに対し、一般市民はしおらしく、自身の未熟さ、不勉強さを反省して、時には涙声で語る小保方さんの姿に同情を感じた人が半数ないしそれに近い割合でした。
当方の職務は弁護士で、弁護士の主戦場は法廷での裁判です。
裁判で、当事者の言い分(主張)が100%対立している場合、白黒を決めるのはどれだけの証拠を裁判所に示せるかです。
その意味で「STAP細胞は間違いなくあります」、「200回以上作りました」、「第三者も作ることに成功しています」と力説しつつ、具体的な証拠を示すことのできない小保方さんは科学的に何の反論もしていないと同じであるとコメントしていた科学者のコメントは正しい指摘だと思います。
裁判でも言うだけならだれでも言うことができ、それを裁判所に認めてもらうのはその言い分を裏付ける証拠が必要であることは、おそらく中学生でもわかると思います。
ただ、小保方さんの会見は、しおらしく反省の態度を示すことで、疑惑が報じられてから非常に問題のある人物であるとの評価を、少しでも和らげることにあるとすれば、それなりに成功したと言ってもよいのかもしれません。
小保方さんは4月9日に理研に不服申立てをして、その後10日以内に再調査するかどうかの結論が出て、再調査の必要なしと判断されれば、次は懲戒処分に付され(その場合はほぼ間違いなく懲戒解雇になるでしょう)、再調査の必要があると判断されれば、改めて再調査委員会の結論を待つことになります。
理研は科学者集団ですので、小保方さんの反論会見で科学的な証拠で反論ができなかった以上、再調査の必要なしとの結論が出るのではないかとの予想が多いようですが、少なくとも昨日の会見で半数近くの国民が小保方さんに同情を示しているのですから、理研がもしあっさりと再調査の必要なしとの結論を出すと、今度は理研に対する国民の批判が大きくなると思います。
理研がそのあたりを見据えて、政治的な判断をせざるをえなくなる(心証的には再調査の必要はないと考えつつ、国民の批判を恐れて再調査をするとの結論を出す)可能性もあると思います。

投稿者 田瀬英敏法律事務所(恵比寿の弁護士)

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