田瀬法律事務所の日記

2014年3月26日 水曜日

ベランダトラブル

以前読んだ週刊誌に面白い記事がありました。
それはマンションの蛍族が消えつつあるという記事です。
家の中で喫煙できないのでベランダで喫煙する人々を蛍族と言いますが、相当前から使われており市民権を有した言葉だと思います。
しかし、ここ数年、喫煙の際に出る煙が隣近所のベランダに流れ込み、洗濯物に煙草の臭いが付くのでベランダでの喫煙に対し、
隣近所から苦情があり、マンションによっては管理組合の規則でベランダでの喫煙が禁止される場合もあるとのことでした。
そして、少し前同期の弁護士と酒を飲んだ際に、このベランダトラブルの話題になりました。
同期の弁護士はいくつかの不動産管理会社の顧問弁護士をしており、月に数回住民同士のベランダトラブルの相談が顧問をしている管理会社から寄せられるそうです。
不動産管理会社の顧問弁護士はトラブルになっている住民の双方の話を良く聞いてから、解決可能な落としどころをみつけてそこに誘導することが重要な職務で、いずれか一方に与することは法律上許されません。
以前の住民間のトラブルの多くは騒音トラブル、ゴミ捨てに関するもので、ベランダトラブルはベランダでペットを飼育している際の臭気くらいだったようです。
ところが、最近ベランダトラブルが急増し、同期の弁護士のもとに持ち込まれるベランダトラブルのうちの2,3割は住民同士の対立が極限までエスカレートしており、一方ないし双方が「自分は自費で弁護士や司法書士などの法律家を代理人に立てるので余計なことはしないでもらいたい」と言って、同期の弁護士の介入を拒否するとのことです。
一方が代理人を立てると言った場合、管理会社の顧問弁護士はもう一方に与することはできないため、そうなった場合は成り行きを見守るしかないとのことです。
また、事件としては小さな事件なので新聞やテレビではあまり報道されないようですが、ベランダトラブルを巡る刑事事件も急増しており、暴行罪、傷害罪などで逮捕されるケースも急増しているとのことです。
さらに、ベランダでの喫煙の禁止の他、布団干しと布団叩きの禁止、鉢植えなどの植物類をベランダに置くことの禁止など、今ではかなりの数のベランダでの行為が禁止されているそうです。
本当に住みにくい世の中になりましたね。
映画ファンであれば皆知っている「3丁目の夕日」の世界が懐かしく感じます。

投稿者 田瀬英敏法律事務所(恵比寿の弁護士)

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