田瀬法律事務所の日記
2012年11月 9日 金曜日
ストーカーに狙われたら・・・@恵比寿の弁護士のブログ
先日、神奈川県の逗子市で非常に後味の悪い殺人事件が起きました。
かなり大きなニュースになっている事件ですが、その事件とは、以前交際していた女性に対し、
執拗なストーカー行為をしていた男性が、女性を殺害した挙句に、その現場で自分も自殺したという陰惨な事件です。
この事件では事件前の2ヶ月間で約1000通の脅迫メールが送られていたにもかかわらず、警察はストーカー規制法による取締ができなかったことが話題(一部非難)となっております。
ストーカー規制法は手紙、ファックスで被害者に対しつきまとい行為や脅迫をした場合に適用されるのに対し、メールによる脅迫は規定していないので、メールによる脅迫にストーカー規制法を適用しないのは杓子定規的だとの非難です。
ストーカー規制法を適用しなかったため、将来ある若い女性の命が奪われたことから、警察を非難したくなる気持ちはわからないでもありません。
しかし、刑事事件には「罪刑法定主義」という大原則があり、これは人に不利益を与える刑罰は法律で律することを要請する原則です。
そして、この「罪刑法定主義」から刑事事件における類推解釈・拡張解釈の禁止」という派生原則が発生するのです。
要は、刑罰に関する限り、できるだけ杓子定規的な運用をせよという原則です。
メールは手紙の電子版なので、ストーカー規制法において類推解釈が許されるなら、手紙を拡張解釈するとメールは手紙とも言えます。
しかし、このような解釈は許されませんので、警察も忸怩たる思いだったと、今から考えるとそう思います。
ストーカー規制法が成立した当初は、電子メールはそれほど社会で行き渡っておらず、法の網の目から漏れたのです。
しかし、数年前からメールは多くの国民に行き渡り、今では幼稚園児から70歳以上の高齢者までもが日常生活で普通にメールを使います。
そうすると、スト-カー規制法を改正して、メールに対する脅迫行為もストーカー規制法で取り締まれるようにすべきだったのです。
それゆえ、それをしていない政府の責任は重いと言わざるを得ません。
訴訟大国のアメリカであれば、このような事件が起きると、ほぼ間違いなく遺族が国(州)を訴え、その結果国(州)が敗訴する可能性が高いと思います。
日本であれば、遺族がそのような訴え(国家賠償訴訟)を起こす可能性は低く、仮に起こしても、現在の国家賠償訴訟の現状を見る限り、遺族が勝訴する可能性は非常に低いと思います。
ところで、当方も時々ストーカー被害に遭っている女性(時には男性)から相談を受けることがあります。
その場合は被害者と一緒に警察暑に行って被害届けを出したり、ストーカーに電話、メール等で警告をすることで、ストーカー被害は止むことが多いですが、当方は必ず相談者に次のように言います。
1 弁護士が力になってあげられる範囲は限界があること。
2 警察も警告を出したり、ストーカーを逮捕したり、また自宅の周りを重点的に見回ることはできても24時間ガードすることはできない
全てを失っても対象の異性につきまとい、最悪、対象の異性を殺害しても構わないと思っているストーカーに対しては、家族などの協力で自身の身を守るしか術がありません。
今回のようなストーカーによる殺人事件(というか一方的な無理心中事件です)が起きる度に当方は無力感に苛まれます。
非常にアバウトな言い方ですが、お付き合いを始める時点で、その相手はストーカーにならないタイプかを慎重に見極めるしかないのかもしれませんね。
かなり大きなニュースになっている事件ですが、その事件とは、以前交際していた女性に対し、
執拗なストーカー行為をしていた男性が、女性を殺害した挙句に、その現場で自分も自殺したという陰惨な事件です。
この事件では事件前の2ヶ月間で約1000通の脅迫メールが送られていたにもかかわらず、警察はストーカー規制法による取締ができなかったことが話題(一部非難)となっております。
ストーカー規制法は手紙、ファックスで被害者に対しつきまとい行為や脅迫をした場合に適用されるのに対し、メールによる脅迫は規定していないので、メールによる脅迫にストーカー規制法を適用しないのは杓子定規的だとの非難です。
ストーカー規制法を適用しなかったため、将来ある若い女性の命が奪われたことから、警察を非難したくなる気持ちはわからないでもありません。
しかし、刑事事件には「罪刑法定主義」という大原則があり、これは人に不利益を与える刑罰は法律で律することを要請する原則です。
そして、この「罪刑法定主義」から刑事事件における類推解釈・拡張解釈の禁止」という派生原則が発生するのです。
要は、刑罰に関する限り、できるだけ杓子定規的な運用をせよという原則です。
メールは手紙の電子版なので、ストーカー規制法において類推解釈が許されるなら、手紙を拡張解釈するとメールは手紙とも言えます。
しかし、このような解釈は許されませんので、警察も忸怩たる思いだったと、今から考えるとそう思います。
ストーカー規制法が成立した当初は、電子メールはそれほど社会で行き渡っておらず、法の網の目から漏れたのです。
しかし、数年前からメールは多くの国民に行き渡り、今では幼稚園児から70歳以上の高齢者までもが日常生活で普通にメールを使います。
そうすると、スト-カー規制法を改正して、メールに対する脅迫行為もストーカー規制法で取り締まれるようにすべきだったのです。
それゆえ、それをしていない政府の責任は重いと言わざるを得ません。
訴訟大国のアメリカであれば、このような事件が起きると、ほぼ間違いなく遺族が国(州)を訴え、その結果国(州)が敗訴する可能性が高いと思います。
日本であれば、遺族がそのような訴え(国家賠償訴訟)を起こす可能性は低く、仮に起こしても、現在の国家賠償訴訟の現状を見る限り、遺族が勝訴する可能性は非常に低いと思います。
ところで、当方も時々ストーカー被害に遭っている女性(時には男性)から相談を受けることがあります。
その場合は被害者と一緒に警察暑に行って被害届けを出したり、ストーカーに電話、メール等で警告をすることで、ストーカー被害は止むことが多いですが、当方は必ず相談者に次のように言います。
1 弁護士が力になってあげられる範囲は限界があること。
2 警察も警告を出したり、ストーカーを逮捕したり、また自宅の周りを重点的に見回ることはできても24時間ガードすることはできない
全てを失っても対象の異性につきまとい、最悪、対象の異性を殺害しても構わないと思っているストーカーに対しては、家族などの協力で自身の身を守るしか術がありません。
今回のようなストーカーによる殺人事件(というか一方的な無理心中事件です)が起きる度に当方は無力感に苛まれます。
非常にアバウトな言い方ですが、お付き合いを始める時点で、その相手はストーカーにならないタイプかを慎重に見極めるしかないのかもしれませんね。
投稿者 田瀬英敏法律事務所(恵比寿の弁護士)