田瀬法律事務所の日記

2012年3月 6日 火曜日

新聞の片隅に載った小さなニュース

 先日、新聞の社会面に出ていた小さなニュースですが、19歳の少年が一緒に暮らしていた同い年の少女の1歳の子を虐待した挙句、その子を危篤状態にさせ、殺人未遂で警察に逮捕されたという報道がありました。
  詳しい背景は報道されていなかったので判りませんが、推測するに、今回虐待されあわや命を落としかけた子は、このカップルの間の子ではなかったと思われ、多分未婚の母で産んだ子か、未成年で結婚してできた子(その後離婚した)のように思われます。
  逮捕された少年は、警察での取調べに対し、子供の泣き声がうるさく、次第にその子が憎らしく思うようになって日常的に暴力を振るったと供述し、実の母親である19歳の少女は、自分の子が少年から暴力を振るわれるのは見ていて忍びなかったが、少年に暴力を止めるように言って嫌われたくなかったので、見て見ぬふりをしていたと言い訳をしているそうです。
  そして、今回、被害者の子が少年の暴行で意識不明となって救急搬送され、不審に思った病院が警察に通報して少年が逮捕されたとのことですが、その暴行とは1歳の子の両足を持ってぐるぐると体全体を回転させたというものですから、まだ一人歩きもできない1歳の子に対する暴行としては余りにも酷すぎるものであり、少年の容疑が殺人未遂となったことは当然です。
  その後、そのニュースの後追い報道に接しておりませんので、その子の意識が戻って生命の危機を脱したか、実母である少女も殺人未遂(あるいは傷害)の共犯として逮捕されたかどうかわかりません。
  その子の生命の危機が去ったかどうか祈りたくなる思いになります。
  一人歩きも出来ない1歳の子に、泣き声がうるさいから憎くなったと言ってプロレス技もどきの暴行を加え、さらに、それを見て見ぬふりをしているとは、このカップルは人の親になる資格がないと言わざるを得ません。
  おそらく少年も少女も世間一般でごく当たり前の情操教育を受けて来なかったものと思われ、責任の半分以上は少年と少女の親にあると思います。
  例外はありますが、凶悪な事件を起こす少年の殆どが家庭に問題があり、全国的な注目を集めた山口県光市の母子殺人事件の犯人(死刑が確定)も幼い頃に母親が自殺し、父親がアジア系の外国人女性と再婚するなど、少年時代の犯人は両親から愛情を注がれないまま犯行の年齢になり、あのような凄惨な事件を引き起こしました。
  もし、彼の家庭が、仮に経済的には裕福でなくとも、有り余る程の両親の愛情を一杯に受けて育ったのであれば、まず間違いなくあのような事件を引き起こすことはなかったと思います。
  もちろん、非常に劣悪な家庭環境のもとで育っても、立派な社会人になった人も多くおり、劣悪な家庭環境で育った子の多くが、非行に走ると決めつけることは乱暴な見方かもしれませんが、両親(場合によっては一方の親のみでもかまいません)から愛情を注がれた育った子と、そうでなかった子とでは、将来非行に走る確率、非行に走った場合は他人の生命を侵害するなどの重大な結果を引き起こす確率は、後者が前者を大きく上回ることは明らかです。
  今回の被害者の1歳の子の実母は、明らかに母性という女性(人間)にとって不可欠な本質的要素が欠けていると考えられ、多分これはこれから努力して身に付けようとしても身に付くようなものではないため、その子は実母から法的に引き離す必要があります。
 そのため、児童相談所経由で家庭裁判所は少女の親権の喪失を宣告することになると思います。
  その子は、今後、養護施設で育てられながら、子供のいない夫婦の「特別養子」になるなどの可能性を探ると思います。
  動物以下(動物は我が子のために命を投げ出しますので、暴論ですがその実母は動物より遙かに下の生き物である「虫」レベルと言って過言ではないでしょう)の母親で育てられ、いつまた同じような危険に遭遇するかわかりませんので、血の繋がりはなくとも、その子に溢れんばかりの愛情を注いで育ててくれる「特別養子」の親(養親といいます)のもとに行くことが、その子にとって遙かに幸せでしょう。

投稿者 田瀬英敏法律事務所(恵比寿の弁護士)

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